ホテル・旅館(宿泊施設)における7つのインバウンド対策を紹介!

公開日 (更新日 2024.06.20)

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新型コロナウイルス感染症が流行した影響を受けて、訪日外国人の数は減少傾向にありました。しかし、2022年頃からは、需要は復調の兆しが見えてきており、ホテル・旅館の運営においてもインバウンド対策が求められています。とはいえ、具体的にどのようなインバウンド対策を実施すれば良いのか分からない方もいるでしょう。この記事では、インバウンド対策が必要な理由や、対策においてすべきことなどについて解説します。ホテル・旅館におけるインバウンド対策に悩む経営者は、ぜひ、本記事の内容を参考にしてください。

そもそもインバウンドの意味とは?

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インバウンド(inbound)とは、海外から日本へ訪れる旅行および訪日外国人旅行者を意味します。インバウンドの対義語はアウトバウンド(outbound)で、日本から海外へ旅行すること(日本人の海外旅行客)です。

日本国内におけるインバウンド需要の現状

日本政府観光局(JNTO)が公表した資料によると、2020年のインバウンド数は、前年比87.1%減の411万6,000人でした。このデータには、新型コロナウイルス感染症流行が2019年12月に発生し、2020年には世界中に広がった影響が大きく反映されていると考えられます。

一方、2022年12月からはインバウンド数増加の傾向が出てきました。2022年12月のインバウンド数は137万人であり、前月の93万4,500人から約1.5倍も増加しています。

参考:JNTO『訪日外客数(2020 年 12 月推計値)
参考:JNTO『訪日外客数(2022 年 12 月推計値)

ホテル・旅館においてインバウンド対策が必要な理由

これからのホテル・旅館の運営においてはインバウンド対策が欠かせません。その主な理由4つについて以下で解説します。

国内の人口が減少傾向にあるため

総務省統計局のデータによると、2021年10月時点での日本の総人口は1億2,550万2千人です。これは前年に比べて64万4,000人減少しており、1950年以降では過去最大の減少幅となっています。また、ここ10年は連続で減少幅が拡大しています。

国内人口が減るにつれて、業界内の競争はますます激化していくでしょう。その中で生き残るためには新規顧客の開拓が必要です。国内需要だけに注目せず、海外からの需要にも焦点を当てていかなければなりません。

参考:総務省統計局『人口推計

インバウンド需要は復調の兆しが見えているため

先ほども触れたように、ホテル・旅館業界は新型コロナウイルス感染症流行によって大きな影響を受け、2020年には倒産が相次ぎました。しかし、2022年からは水際対策が緩和されたことや円安を背景に、インバウンド需要は復調の兆しが見えてきています。

日本はもともと、訪れたい国としてアジア・欧米・オーストラリア在住で海外旅行をする層に高い人気を誇ってきました。2021年10月にDBJ・JTBF(公益財団法人日本交通公社)が実施した「第3回 新型コロナ影響度 特別調査」によると、新型コロナウイルス感染症の収束後に訪れたい国として、日本はトップの座を守り続けています。

これらの状況から今後はインバウンドの増加が見込まれるため、それに向けた対策が必要となるでしょう。

参考:公益財団法人 日本交通公社『DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(第3回 新型コロナ影響度 特別調査)
参考:帝国データバンク『宿泊業者の倒産動向調査(2020年度)』

日本文化はインバウンドに人気であるため

日本料理や温泉といった日本独自の文化はインバウンドに人気があります。「外国人旅行者のニーズ把握調査」では、「旅行出発前の段階で期待していたこと」というアンケートを設けました。その結果、「日本の食事」と回答した人は全体の64%と最多数でした。「温泉」と回答した人も45%と多数を占めています。

自社ホテル・旅館なら、オリジナルのメニューを考案することも可能です。「ここでしか体験できない・味わえない」と感じさせる魅力的な食事メニューなどを提案することによって売上拡大が期待できます。

参考:国土交通省『外国人旅行者のニーズ把握調査

地方創生にも貢献できるため

東京や京都など、名所や観光地、娯楽施設や有名飲食店が多い都市はインバウンドに不動の人気を誇ります。しかし、地方にもインバウンドを引き付ける要素はあるはずです。

地方で事業を展開するホテル・旅館の場合、地元の観光地や飲食店、ショッピングスポットなどの魅力をピックアップして紹介し積極的にアピールすることで、地方創生に貢献できます。地方のホテル・旅館に宿泊してもらえば、それに伴って周辺の飲食店やレジャー施設などの利用もおのずから増え、地域経済の活性化につながります。

ホテル・旅館におけるインバウンド対策ですべきこと7つ

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ここでは、ホテル・旅館におけるインバウンド対策ですべきこと7つを紹介し、それぞれについて解説します。

システム・ツール利用による多言語対応

まずは、宿泊施設においてインバウンドが安心して滞在できるよう、施設・サービス案内を多言語で対応する必要があります。多言語で対応できるスタッフを常駐させることができれば最も良いのですが、実際には難しいケースが多いでしょう。

その場合におすすめの方法は、多言語に対応したシステムやツールの導入です。たとえば、多言語に対応した自動チェックイン機をロビーに設置したり、客室内に館内設備やサービスについて多言語で案内するタブレットを設置したりといった方法が挙げられます。

多言語対応ついては以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にして下さい。
>> ホテルの多言語対応はどう行う?事例や方法、注意点を紹介

多言語に対応した印刷物の用意

観光庁が2019年に訪日外国人に実施したアンケートによると、外国人旅行者が日本を旅行中、「公共交通機関の利用」「観光情報の入手」などに不便を感じたことが分かります。外国人旅行者が日本で安心して観光するためには、多言語対応したパンフレットやチラシなどの印刷物の用意も必要です。

また、この後で紹介しますがパンフレットなどの印刷物だけでなく、外国人利用客が旅行前に情報を求めて閲覧するであろうWebサイトの見直しも実施しておかなければなりません。

参考:観光庁『訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート

キャッシュレス決済の導入

海外では日本よりもキャッシュレス決済が普及しており、幅広い年齢層において一般的な決済方法となっています。また、コロナ禍においては非接触・非対面での対応を求める人も多くなっているため、キャッシュレス決済の導入は今後のホテル・旅館の運営においても必須です。

フロントやレストランでのキャッシュレス決済対応はもちろん、事前決済の導入も大切です。たとえば、事前決済システムのPayPalは日本ではまだそれほど馴染みはありませんが、海外では200国以上、4億人以上の利用者がいます。そこで、PayPalに対応している予約システムを導入すると、インバウンドへの対応がスムーズになります。

外国語に対応できる人材の配置

外国人利用客にとっては、自分の母国語や話せる言語でコミュニケーションをとれるスタッフがホテル・旅館にいれば何かと心強く、安心して宿泊・滞在を楽しめます。多言語対応できる人材を積極的に採用し、フロントやレストランのスタッフやコンシェルジュとして配置しましょう。

特に、訪日外国人の大半にニーズがある英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語への対応は急務です。余裕があれば、フランス語やイタリア語、スペイン語などのヨーロッパ言語や、タイ語・マレーシア語など、訪日観光客の多い国の言語にも対応するのが望ましいです。

そういった人材の採用が難しい場合は、上記で紹介した多言語対応システム・ツールの導入でカバーするなどの工夫が必要です。

インバウンド向けの宿泊プランの設計

インバウンドに適した宿泊プランを設計し提案することも大切です。ちなみに、宿泊施設を予約する時の考え方は日本と海外で異なります。日本では食事付きの「プラン」から選ぶ方法が一般的ですが、海外では食事は付いておらず「部屋を借りる」という考え方が主流です。そのため、プランをアピールする際には「食事付きでこの料金」ということを分かりやすく認識させる必要があります。

外国人利用客の多くは日本食に興味を持っているため、魅力的な日本食が付いたプランを提案できると予約につながる可能性を高められるでしょう。ただし、宗教や文化的な違いによりタブーとされる食材もあるため、プランに採用する食材の選定には注意する必要があります。

HP・SNSでの積極的な情報発信

インバウンド集客を成功させるためには、HPやSNSなどを通じて積極的に情報発信することも大切です。たとえば、インスタグラムは写真がメインコンテンツであるため、ホテル・旅館業と親和性が高いSNSです。周辺観光地や施設内でインスタ映えするようなコンテンツを投稿すれば、外国人にも興味を持ってもらえる可能性が大いにあります。

HPやSNSで情報発信する際は、あらかじめ自社独自の魅力を洗い出し、他社と差別化を図れるようなコンテンツを発信するのがポイントです。また、外国語での発信が難しい場合は『DEEPL』などの翻訳ツールを活用すると良いでしょう。

ホテル公式サイト・予約サイトの見直し

ホテル・旅館の公式サイトや予約サイトで多言語対応すれば、外国人利用客も施設内や周辺の観光地の情報を得やすくなるため、予約につながる可能性が高まります。また、サイトにFAQを掲載しておけば、電話対応業務の効率化につながります。

さらに、サイト上で多言語対応するチャットボットも有効です。おすすめのチャットボット『Talkappi』はFacebookやWeChatなどにも対応しています。

といっても、自社内でサイトの改善や多言語対応への対策を実施するのは大変です。ノウハウとリソースが必要な作業のため、無理に自社でやろうとせず、多言語対応サイトの制作実績が豊富な外部業者に依頼する方法がおすすめです。

多言語対応ができるサイト制作サービスや予約システムについては、後ほど紹介します。

ホテル・旅館におけるインバウンド対策で活用できる補助金

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上記で述べたような設備投資には金銭的コストがかかりますが、インバウンド対策で活用できる補助金があります。以下で主な2つを紹介します。

インバウンド対応力強化支援補助金

インバウンド対応力強化支援補助金を活用すれば、インバウンド対応にかかる費用が最大50%補助されます(1施設あたり上限300万円)。

補助金の対象業者は、東京都内で旅館業法の許可を取得している中小の旅館・ホテルと簡易宿泊所などです。対象とされる事業は多岐にわたりますが、多言語対応化に向けたシステム・ツールやキャッシュレス決済システムの導入、ホームページや予約サイトの多言語化、外国人利用客の受け入れを目的とした人材育成なども含まれます。

募集期間は2022年4月1日~2023年3月31日です(補助金申請額が予算額に達したら受付終了)。詳しくは以下のHPをご覧ください。

参考:公益財団法人 東京観光財団『インバウンド対応力強化支援補助金

インバウンド安全・安心対策推進事業

観光庁による「インバウンド安全・安心対策推進事業」は全国を対象とした補助金です。補助対象経費の50%以内が補助されます。

観光地で営業する店舗や施設が対象のため、多くのホテル・旅館も該当します。対象事業は多岐にわたりますが、多言語対応の案内システムやホームページ、非接触式キャッシュレス決済の導入も対象です。

募集期間は2023年2月9日~2023年9月29日です(補助金申請額が予算額に達したら受付終了)。詳しくは以下のHPをご覧ください。

参考:観光庁『訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業(インバウンド安全・安心対策推進事業)

ホテル・旅館のインバウンド対策に役立つサービス

株式会社キャディッシュでは、ホテルや旅館のインバウンド対策に役立つ予約システムや、Webサイト制作サービスを提供しています。ここでは、それぞれの具体的なサービスの詳細を紹介します。

キャディッシュの予約システム・サイト制作サービス

インターネット宿泊予約システム 予約番』は、デザインパターンが5種類あり、カラーパターンも複数から選べます。日本語と多言語でデザインを変えることも可能で、さらにインバウンド向けデザインもご用意しています。

外国人利用客を引き付けるデザインにくわえて、決済の便利さも訴求できます。事前決済方法はクレジットカード決済とPayPal決済があり、プラン毎に決済手法を変えることも可能です。キャンセルポリシーもプラン毎に変えられます。

また弊社の『Webサイト制作サービス』では、豊富な実績を基にして、ホテルサイトや外国語ページなど宿泊業界に求められるWebサイトを制作いたします。サイト設計やCMS構築、写真撮影、管理保守など幅広く対応可能です。

では、実際に弊社が手掛けたWebサイト制作の事例をご紹介します。

キャディッシュのサイト制作事例(お宿 まる屋様)

お宿まる屋の多国語サイト

キャディッシュの手がけた英語サイト『お宿 まる屋』は、美しく大きな「日本らしい」画像が目を引き付けます。トップページで外国人の関心が高い「日本の風景や文化」をしっかりと見せて訴求しています。

日本語と英語の切り替えはヘッダーのメニューから可能です。URLも英語サイトと日本語サイトでそれぞれ別に設けられているため、SNSなどでのインバウンド集客にも適しています。

その他、国内主要空港や最寄り駅からのアクセス、料理や客室、利用できる決済方法の案内にも大きめの画像をふんだんに使っているので感覚的に分かりやすく、眺めて楽しいサイトになっています。

その他、多数の宿泊施設のWebサイト制作を手掛けています。詳しくは制作実績をご覧ください。

ホテル・旅館で適切なインバウンド対策を実施しよう!

アフターコロナの時代において、ホテル・旅館業が今後売上を拡大するためには、新規マーケットを開拓しつつ競合に遅れをとらないように、インバウンド対策を実施する必要があります。インバウンド対策の施策はさまざまですが、予約サイトや公式サイトの多言語対応も重要な施策の1つです。

私たちキャディッシュは、豊富な実績と経験に基づいて多言語対応の予約システムやサイト制作サービスを提供しています。インバウンド対策を検討している方は、ぜひご検討ください。