【事例で解説】ホテル管理システム(PMS)が実現する宿泊施設の業務改善
公開日 (更新日 2025.11.17)

宿泊業界は、インバウンドの回復や深刻な人手不足といった課題に直面し、変化への適応が常に求められています。多くの宿泊施設では、業務効率化と競争力向上を目指し、ホテル管理システム(PMS:Property Management System)をすでに導入しています。しかし、PMSは多機能ゆえに、その能力を十分に引き出しきれていないケースも少なくありません。
PMSの真価は、その豊富な機能を適切に活用することで発揮されます。本記事では、PMSが持つ主要な機能に焦点を当て、具体的な活用事例を交えながら、どのように業務効率化や生産性向上を実現できるのかを解説します。
目次
ホテル管理システム(PMS)とは?
ホテル管理システム(PMS:Property Management System)は、宿泊施設の運営に必要な予約、顧客、客室、会計など、多岐にわたる業務を一元的に効率化するシステムです。PMSを導入することで、これまで個別に管理していた重要なデータを統合し、従業員の業務負担を軽減しながら顧客満足度の向上に貢献します。
PMSの機能は多岐にわたりますが、主な機能は以下の通りです。
- 予約管理
- 客室管理
- 台帳管理
- 精算管理
- 清掃管理
ホテル管理システム(PMS)については以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にして下さい。
>>ホテル管理システム(PMS)とは?導入するメリットと注意点も解説
以下では、PMSの主要な機能別に、具体的な活用事例を解説します。
予約管理機能の活用事例
予約管理機能とは日々入ってくる予約やキャンセル、変更内容を把握し、施設全体の状況を俯瞰して把握する機能です。多様な予約チャネルの情報を一元管理し、予約業務を効率化します。
近年、ユーザーの予約経路はOTA、自社サイト、電話など多様化しており、予約管理や在庫管理が煩雑になりつつあります。これらの予約を手作業で情報転記したり在庫調整したりすると、時間と労力を浪費し、オーバーブッキングのリスクも生じます。
サイトコントローラー連携で業務を自動化
PMSとサイトコントローラーを連携することで、予約情報を自動で一元管理することができます。手作業による登録の手間を削減し、人的ミスを防止します。
あるビジネスホテルでは、予約入力時間を1日あたり平均2時間削減しました。また電話予約では、顧客情報をPMSに直接入力しながら予約登録が可能になり、空室状況や料金を即座に確認し、顧客を待たせることなくスムーズに対応することができます。
サイトコントローラーについては以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にして下さい。
>>サイトコントローラーで業務効率化!特徴と選定ポイントを解説
オーバーブッキング防止
ビジネス利用の多い施設では、長期予約の依頼も多数存在します。長期予約は電話での問い合わせが多いため、空き状況を俯瞰して把握することが難しく、予約受付に時間がかかる場合が多々あります。しかし、PMSを導入することで一瞬で在庫状況を把握し、案内が可能になります。
また、休館日や工事による該当部屋の利用可否なども、スタッフ全員が把握できずに予約を取ってしまうことがありますが、システム連携にて販売制御をかけられミスが軽減されます。PMSにはメモ機能が搭載されているものもあるため、顧客への説明も統一化できるメリットも存在します。
【導入施設の声】
以前は、チェックイン時に空室状況を確認するために、清掃担当に電話で確認したり、館内を走り回ったりしていました。
PMS導入後は、リアルタイムで客室状況が把握できるため、お客様をスムーズにご案内できるようになりました。清掃完了の連絡もタブレットで確認できるので、無駄な動きが減り、業務効率が格段に向上しました。
人数も少ないため外出することが多く、外出先で電話予約を受けることがあります。
今までは、一度折り返しにして、現地に状況確認し、在庫も一度止めるなどする必要がありました。
導入後は、外出先でも予約・在庫状況がすぐに確認でき、タブレットを更新すると現地にも情報がすぐに反映されるので確認作業がなくなり、非常に効率化されています。
客室管理の活用事例

客室管理とは、顧客ごとの部屋割りの決定や、リアルタイムな客室状況の把握を通じて、スムーズなチェックイン対応などを実現する機能です。
リアルタイム状況把握で時間短縮
PMSを導入することで、チェックイン前、滞在中、チェックアウト済、清掃中など、各部屋の状況をリアルタイムに把握できます。清掃担当者は、タブレットやスマートフォンなどのモバイルデバイスで清掃指示や完了報告を行えるため、フロントとの連携が円滑になり、効率的な作業が可能です。
顧客が到着した際、清掃済みの部屋を迅速に案内できるため、顧客満足度の向上とスムーズなオペレーションを実現します。
また、清掃状況の確認のためにフロントと清掃担当者が何度も連絡を取り合う手間が省け、清掃時間の短縮にも貢献します。あるシティホテルでは、清掃状況のリアルタイム共有により、顧客の待ち時間を平均5分短縮できました。
自動部屋割りで業務を効率化
宿泊施設では一般的に、翌日の予約状況や顧客の属性(喫煙・禁煙、家族構成など)に応じて部屋割りを行います。手作業での部屋割りは、ミスが発生しやすいだけでなく、経験や勘に頼ることが多く、必ずしも最適とは限りません。
一方、一部のPMSでは、システムが自動的に最適な部屋を割り振ります。これにより、担当者は最終確認と微調整に時間をかけるだけで済み、大幅な時間短縮につながります。特に客室数の多いホテルでは、部屋割りにかかる時間を大幅に削減できます。
【導入施設の声】
以前は、チェックイン時に空室状況を確認するために、清掃担当に電話で確認したり、館内を走り回ったりしていました。
PMS導入後は、リアルタイムで客室状況が把握できるため、お客様をスムーズにご案内できるようになりました。清掃完了の連絡もタブレットで確認できるので、無駄な動きが減り、業務効率が格段に向上しました。
台帳管理機能の活用事例
台帳管理とは、顧客がチェックイン時などに記入する宿泊者名簿や、予約状況を一覧で把握できる予約台帳などの情報を管理する機能です。従来は紙媒体での運用が主流でしたが、近年では電子化が進んでいます。
電子化によるペーパーレス化
これまで紙で管理していた予約台帳や宿泊者名簿(レジカード)をPMS導入により電子化することで、情報の検索や共有が容易になり、紛失のリスクも軽減されます。必要な情報を瞬時に探し出せるため、顧客からの問い合わせにも迅速に対応できます。
旅館業法で保管が義務付けられている宿泊者名簿も、セキュリティ対策が施されたシステムで電子的に保存することで、保管場所の心配がなくなり、必要な情報をいつでも迅速に検索できます。監査対応などもスムーズに行えます。
【導入施設の声】
今までは予約が入るとFAXで受信し、紙の台帳に書き写していました。変更があった場合には都度修正し、どんどん見づらくなり、従業員間での情報連携があいまいになっていました。
PMS導入後は、サイトコントローラー側からの情報を自動で取得でき、また1つの画面で情報も集約されているので分かりやすく、共有もしやすくなりました。
予約情報を書き写さなくてよくなり、かなりの時間効率化ができています。
精算管理機能の活用事例

精算管理とは、顧客が宿泊費や館内での購入品などの支払い方法や内容を管理する機能です。宿泊売上だけでなく、レストラン、物販、日帰りプランなど、施設の売上構成は多岐にわたります。PMSでこれらを一元管理することで、施設全体の売上状況を正確に把握し、データに基づいた経営判断を支援します。
売上の一元管理と経営戦略の構築
施設の収益状況を正確に把握し、データに基づいた経営判断を支援します。加えて、集計機能があれば月単位や年単位など、定量的なデータに基づいた財務管理が可能となり、根拠に基づいた経営戦略の構築を支援します。部門別の売上分析なども容易になり、改善点の発見に繋がります。
領収書の自動発行で効率化
手書きで行っていた領収書の発行作業を、PMSの精算処理と同時に自動化できます。これにより、手書きによる転記ミスや計算ミスを防ぎ、大幅な時間短縮につながります。また、インボイス制度に準拠した請求書や領収書の発行が可能となり、法規制に沿った施設運営を実現できます。顧客への領収書発行もスムーズになり、チェックアウト時の待ち時間短縮にも貢献します。
クレジットカード連携で精算業務を効率化
ホテルのフロントに設置されたクレジットカード決済端末とPMSをデータ連携することで、PMS上での精算処理と同時に決済端末も自動連携するため、二度打ちの必要がなくなります。これにより、手入力による料金の打ち間違いといった人的ミスを削減できます。また、精算時の金額確認にかかる時間も短縮されます。
近年では、クレジットカードだけでなく、QRコード決済やICカード決済など、多様な決済方法に対応可能なPMSも登場しており、顧客の支払いニーズに柔軟に対応することで、決済時のトラブル回避にもつながります。
補助金・宿泊税申請を簡略化
PMSで日々の売上や顧客情報を正確に管理することで、補助金申請や宿泊税の徴収・納付に必要なデータ作成を効率化できます。PMSの中には、補助金の申請フォーマットでデータを出力できる機能を搭載したものもあり、申請作業の負担を軽減します。複雑な申請書類作成の時間を大幅に削減できます。
【導入施設の声】
PMS導入後は自動で計算されるため、ミスが大幅に減りました。
領収書の発行もスムーズになり、お客様をお待たせする時間も短縮されました。
清掃管理機能の活用事例
清掃管理とは、顧客がチェックアウトした後の客室清掃を清掃スタッフに指示し、客室の清掃ステータスなどを全体的に把握する機能です。
清掃状況の可視化で迅速な客室提供
各部屋の清掃状況をリアルタイムに把握できるため、顧客が予定より早く到着した場合でも、清掃済みの部屋を迅速に案内できます。清掃担当者も、スマートフォンなどのモバイルツールで清掃状況を確認できるため、フロントへの報告・確認作業が減り、業務効率化につながります。顧客を待たせることなくスムーズに客室へ案内できることは、顧客満足度向上に直結します。特に繁忙期など、一刻も早く客室を提供したい場合に有効です。
清掃指示のデジタル化で連携強化
清掃依頼時に、リネン交換の有無や顧客からの要望などをシステム上で事前に指示・確認できます。清掃漏れや間違いを減らし、清掃の質を向上させます。また、テキスト情報として記録が残るため、伝達ミスを防ぎ、情報共有がスムーズになることで、スタッフ間の連携も強化されます。
忘れ物管理を一元化し効率化
チェックアウト後の忘れ物を発見した場合、写真や詳細情報をシステムに登録し、一元管理できます。顧客から問い合わせがあった際も、すぐにシステム上で確認できるため、現物を確認に行く手間が省け、迅速な対応が可能となり、顧客満足度の向上に貢献します。
【導入施設の声】
これまで業務を効率化するため、システムを導入したいと思ったことは何度かありましたが、結局高くて難しそうで導入を諦めていました。
このPMSは(every⁺1)はサイトコントローラーとも連携できて領収書の電子発行や売上の管理、清掃の指示まで1台で簡単に運用できます。
まとめ:PMSは宿泊施設の進化を力強く後押しする中核ソリューション
PMSの導入は、煩雑な予約管理から解放され、リアルタイムな客室状況の把握、正確な会計処理、そして顧客との円滑なコミュニケーションを実現します。サイトコントローラーとの連携による予約業務の自動化、電話予約時のスムーズな情報登録、オーバーブッキングの防止などは、日々の業務における時間と労力を大幅に削減します。
さらに、清掃状況の可視化やデジタル化された指示系統は、スタッフ間の連携を強化し、迅速かつ質の高いサービス提供を可能にします。顧客情報の管理や分析機能は、よりパーソナライズされたサービスへと繋げ、顧客満足度の向上を図ることができるでしょう。
導入施設の声にもあるように、PMSは単なる業務効率化ツールに留まらず、属人的な業務からの脱却、情報共有の円滑化、そしてデータに基づいた戦略的な経営判断を支援する基盤となります。
変化の激しい現代において、宿泊施設が持続的な成長を遂げるためには、テクノロジーの積極的な活用が不可欠です。ホテル管理システム(PMS)は、まさにその中核となるソリューションであり、宿泊施設の進化と未来を力強く後押しする存在と言えるでしょう。
だれでも使いやすいホテル管理システムevery+1(エブリワン)
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