OTAのメリットと注意点を解説!自社予約システムとの最適な併用法

公開日 (更新日 2025.05.15)

デジタル戦略を学びたい方

OTAとは

OTA(オンライン旅行代理店)とは、インターネット上で宿泊券などの手配を行う実店舗を持たない旅行会社のことを指します。この用語は「Online Travel Agency」の略称です。日本では「Agency」を「Agent」と呼ぶこともありますが、正しい表記は「Agency」です。

下記にて、代表的なOTAを紹介します。

【国内】

【国外】

OTAの仕組み

OTAを上手に活用することで、宿泊施設の集客力を大幅に向上させることができます。以下に、OTAの基本的な仕組みを簡単に説明します。

  1. 宿泊施設の登録
    旅館やホテルなどの宿泊施設は、OTAのプラットフォームに登録します。この際、施設情報、客室の写真、プラン、料金、空室状況などを提供します。これにより、世界中の旅行者がOTAを通じて宿泊施設を見つけ、予約できるようになります
  2.  旅行者の検索と予約
    OTAは宿泊施設が提供した情報をもとに、旅行者に検索条件に合った宿泊施設を提示します。旅行者は、自分の希望に合った宿泊施設を見つけたら、OTAを通じて予約を行います
  3.  予約の確認と管理
    旅行者が予約を完了すると、OTAはその予約情報を宿泊施設に提供します。宿泊施設は、OTAの管理システムを使って、予約状況をリアルタイムで確認・管理することができます
  4.  手数料の支払い
    旅行者が滞在を終えると、OTAは売上金額から手数料を差し引いた金額を宿泊施設に支払います。入金は通常、一定のスケジュールに従って振り込まれます。

また、OTAの中には、宿泊施設や航空券の手配だけでなく、宿泊と航空をセットにしたダイナミックパッケージや旅行保険も取り扱うものもあります。

リアルエージェントとOTAの違い

JTBやHISも販路にインターネットを活用していますが、これらの旅行会社は実店舗を持つリアルエージェントです。リアルエージェントとは、顧客と直接商談を行える実店舗を持つ旅行会社のことを指します。OTAとリアルエージェントとの最大の違いは、OTAは、予約から手配まですべてインターネット上で完結する点です。

OTAの利用率

一般社団法人日本旅館協会「令和 5 年度 営業状況等統計調査」の、お客様が予約される際の方法を旅行会社、OTA(オンライントラベルエージェント)、自社HP、直予約の4つに絞って調査したデータによると、OTAの利用率は全体の43.3%、旅行会社が26.8%、自社HPが14.4%、直予約が15.5%となっています。この結果から、OTAの利用率は高いといえるでしょう。

また、年度ごとの推移利用率の変化を見てみても、OTAと自社HPの利用率が年々増加していることから、今後もオンラインでの予約比率が高まると予想されるため、OTAの活用はますます重要といえるでしょう。

参考:一般社団法人日本旅館協会「令和5年度 営業状況等統計調査」

OTAのメリット

前述した通り、OTAの利用率は高く、宿泊施設もOTAを利用するメリットも多くあります。ここでは、OTAの主なメリットを3つ紹介します。

初期費用無料、掲載手数料なし

多くのOTAでは、宿泊施設の掲載に初期費用や掲載手数料がかかりません。また、月々の利用料や掲載手数料が、無料であるOTAが多いため、低コストで気軽に始めることができます。成約手数料はかかるものの、リアルエージェントより安価なことが多いため、魅力的と言えるでしょう。 販路拡大・認知度向上

OTAを利用することで、宿泊施設は国内外の潜在顧客にアプローチすることができます。先述したように、OTAの利用率は国内外どちらでも高い数値となっています。また、OTAは検索結果で上位に表示されることが多いため、幅広いユーザーへの販路拡大・宿泊施設の認知度向上が期待できます。OTAの中には、詳細な検索機能なども搭載されているものもあり、自社サイトやSNSだけではアプローチしづらいユーザーに対してもアプローチが可能です。また、多数の言語に対応しているOTAも多いため、OTAを利用することでインバウンドへのアプローチも可能となります。これにより、販路が拡大し、施設の認知度の向上が可能になります。

販路拡大・認知度向上

OTAを利用することで、宿泊施設は国内外の潜在顧客にアプローチすることができます。先述したように、OTAの利用率は国内外どちらでも高い数値となっています。また、OTAは検索結果で上位に表示されることが多いため、幅広いユーザーへの販路拡大・宿泊施設の認知度向上が期待できます。OTAの中には、詳細な検索機能なども搭載されているものもあり、自社サイトやSNSだけではアプローチしづらいユーザーに対してもアプローチが可能です。また、多数の言語に対応しているOTAも多いため、OTAを利用することでインバウンドへのアプローチも可能となります。これにより、販路が拡大し、施設の認知度の向上が可能になります。

直接予約への促進

OTAでの掲載は「ビルボード効果」を生み出すことができます。ビルボード効果とは、OTAで宿泊施設を見つけた顧客が直接自社サイトを訪れ、そのまま予約することで直接予約が増加する現象のことをいいます。

2017年に発表されたジョンソン経営大学院によるレポートによると、オンラインで宿泊施設を直接予約したユーザーのうち、65%が予約前にOTAのサイトを訪問していたことが報告されています。この結果は、OTAが顧客の購買行動に大きな影響力を持っていることを示しています。OTAは、多様な宿泊施設を一括比較できるという利便性から、顧客が最初に訪れるサイトとして定着しています。OTAで集客力を高めることで、自社サイトへの誘導を促進し、結果的に直接予約を増やすことが期待できるといえるでしょう。

参考:Cornell University「The Billboard Effect:Still Alive and Well」

OTAの注意点

ここまで、OTAの利用率や利用するメリットについて記載してきました。しかし、OTAを活用する際には、いくつかの注意点もあります。ここでは、主な注意点を3つ紹介します。

予約成立時の手数料が高い

先述の通り、OTAは掲載手数料や初期費用が無料であることが多いですが、予約が成約した際に成約手数料が発生することが一般的です。平均的な成約手数料は8〜15%であり、代表的なOTAの、じゃらんnetや楽天netで8%(一名利用時)、一休で10%となります。(2024年12月時点)リアルエージェントの手数料よりは安価で設定されていることが多いですが、OTA経由での予約が増えれば増えるほど、成約手数料も増えるため、利益が圧迫される可能性が高まります

また、OTAによっては別途広告掲載費などがかかる場合もあります。そのため、メリットと手数料のバランスを考えて運用することが大切です。

価格競争が激化する

OTAに掲載される宿泊施設は多く、顧客は価格を重視する傾向があるため、価格競争が激化しやすくなります。施設側は価格競争のため、価格を下げざるを得ない状況が生じ、利益を圧迫する可能性があります。その結果、サービスや施設の維持費の削減に繋がり、顧客満足度を低下させる可能性もあります。

OTAを活用する際には、施設のエリア全体の価格や、競合施設の価格を参考にしながら、適切なレベニューマネジメントも平行して行うことが重要です。

レベニューマネジメントについては以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にして下さい。>>レベニューマネジメントとは?実施手順や事例、成功のコツも解説

3-3 宿泊施設の魅力を伝えきれない

多くのOTAでは、掲載ページがテンプレート化されているため、宿泊施設独自の魅力を十分に伝えることが難しくなります。例えば、OTAに掲載できる画像の枚数や情報の数に制限がある場合、施設のビジュアル、独自性やテーマを伝えにくくなります。また、施設独自のキャンペーンや特典なども、テンプレート化されたOTAでアピールするには難しいでしょう。

自社予約システムの重要性

上記のように、OTAには高いメリットもありますが、同時に高い手数料が施設の利益を圧迫する可能性もあります。OTAに依存せず、手数料を利益に変えるためには、自社予約システムを導入し、公式サイトからの直接予約を増加させることも重要となります。ここでは、自社予約システムを導入することで得られる主なメリットについて解説します。

成約手数料がかからない

自社予約システムでは、OTAのような成約手数料が発生しない、もしくは成約手数料がOTAと比べて安い場合が一般的です。自社予約システムを活用することで、手数料分を利益に変えるだけではなく、その分の予算をサービス向上や、宿泊施設の維持費に反映させることができます。

顧客データを取得し活用することができる

自社予約システムを通じて、顧客情報を直接取得することができることも大きなメリットの一つです。これにより、顧客データを分析し、マーケティング戦略を立てることが可能です。また、マーケティング施策だけではなく、自社予約サイト経由で予約した顧客に対して、割引券やクーポン、ポイント制度を活用するなどのリピーター施策も効果的に行うことができます。

ブランド力強化と差別化を図ることができる

自社予約システムでは、顧客に対し、施設やブランドの魅力をダイレクトに伝えることができます。デザインやコンテンツを自由にカスタマイズすることで、ホテルや宿泊施設のブランドイメージを統一したビジュアルやメッセージで表現することができ、ブランドのアイデンティティを強化することができます

例えば、高品質な写真や動画、詳細な施設説明を掲載することで、顧客に強い印象を与えることができます。また、施設の歴史や理念、サービスのこだわりなど、ブランドストーリーを詳細に伝えることができ、ブランドロイヤリティを高めることができます。顧客に対してより魅力的で信頼性の高い情報を提供し、競合他社との差別化を実現できる点は、自社予約サイトを運用する大きなメリットといえるでしょう。

OTAを活用し、利益を最大限に向上させるためには

ここまで、OTA(オンライン旅行代理店)と自社予約サイトの重要性とメリットについて解説しましたが、宿泊施設が最大の利益を生み出すためには、今後もOTAの高い需要と自社予約サイトの独自性の両方を活用することが重要です。例えば、OTAを施設の認知度向上の入り口として利用し、自社予約システムを顧客確保の手段として活用する方法があります。ここでは、その方法について詳しく解説します。

OTAを認知の入り口として活用する

OTAは国内外問わず広く利用されており、潜在顧客を含む幅広い層にアプローチできるのが特徴です。掲載手数料がかからないため、無料広告のような形で効果を得られる可能性があります。また、OTAにはビルボード効果を期待することができるため、多くの顧客を自社予約サイトへ誘導することが可能です。

自社予約システムを導入して公式サイト直接予約を増やす

ビルボード効果により、OTAで自社施設の情報を見たユーザーが、より詳細な情報やお得なプランを求めて自社の公式サイトへ訪れます。この時に、最適な自社サイト運用を行っていれば、自社サイトの直接予約を増加させ、OTAの手数料を削減し、利益率を向上させることができます。

自社サイトを運用する際に重要なポイント

  1. 見やすい自社サイト設計
    • ユーザーが迷わず目的の情報にたどり着けるよう、シンプルで直感的なデザインを心がけましょう。
    • スマートフォンでの閲覧にも対応し、いつでもどこでも予約できるようにします。
  2. 価格調整(ベストレート保証の明示)
    • ベストレート保証を明記し、お客様の不安を取り除きましょう。
    • OTAよりもお得な料金設定や、限定特典を提供することで、お客様に直接予約のメリットを実感してもらいます。

これらの戦略を取り入れ、OTAと自社予約サイトを効果的に活用することで、宿泊施設の利益を最大限に向上させることができるでしょう。

自社予約システムの機能を活用する

自社予約システムには多くの機能が搭載されていますが、OTAを経由して訪れた顧客を直接予約に誘導するためには、特定の機能を効果的に利用することが重要です。以下の機能を活用すると、より高い効果を期待することができるでしょう。

  1. 会員制度の導入で顧客ロイヤリティを高める
    • 会員限定の割引やポイントプログラムを導入し、お客様に特別な特典を提供する。
  2. シンプルなで適切な予約フローを実現する
    • 不要な情報入力項目を減らし、予約手続きをスムーズにする。
    • 予約完了メールや、滞在中の案内などを送付することで、お客様とのコミュニケーションを強化する。
  3. 高品質なコンテンツで施設の魅力を最大限にアピールする
    • 高画質な画像・動画や詳細な説明を用いて、宿泊施設の魅力を最大限に表現する。
    • 客室タイプ、情報などを分かりやすく記載し、お客様の疑問を解消する。
  4. その他の有効な機能
    • リアルタイム空室状況を、カレンダー表示などでわかりやすく掲載する。
    • 海外からの予約に対応するため、多言語対応機能を導入する。
    • 現金払い・クレジットカード払い以外にも、様々な決済方法に対応する。

これらの機能をうまく活用することで、自社サイトでの直接予約を増やし、利益の向上を図ることができるでしょう。

ホテル・旅館の利益向上のためには、OTAと自社予約システムの両方を活用することが重要!

宿泊施設の運営において、オンライン旅行代理店(OTA)と自社予約システムの併用は非常に効果的です。しかし、それぞれの特徴やメリット、注意点を理解し、適切に活用することが求められます。

OTAを活用することで、宿泊施設は販路を拡大し、顧客は様々な宿泊施設を選ぶ選択肢が増えます。OTAのメリットとして、初期費用無料、販路拡大、認知度向上などが挙げられますが、予約成立時の手数料が高い、価格競争が激化する、宿泊施設の魅力を伝えきれないといった注意点もあります。

一方、自社予約システムの導入には、一般的には成約手数料がかからない、顧客データの取得と活用ができる、ブランド力強化と差別化を図れるといった多くのメリットがあります。OTAを活用しつつ、自社予約システムを効果的に利用することで、宿泊施設の利益を最大限に向上させることができます。見やすい自社サイト作り、ベストレート保証、会員制度などを導入し、顧客確保に努めましょう。

旅館・ホテル宿泊予約システム「予約番」

旅館・ホテル宿泊予約システム「予約番」は、成約手数料一切不要で、予約実績によって基本利用料金が変動することがないローコストハイリターンの自社予約システムです。会員機能をはじめ、クーポンやポイントといったリピーター施策を促進する便利な機能や、わずか3ステップで予約が完了できるというシンプルな予約フローで、自社予約比率向上を目指すことができます。自社予約システムの導入や、販路拡大をご検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。

旅館・ホテル経営コンサルティング「宿力」

旅館・ホテル経営コンサルティング「宿力」は、旅館・ホテル業界出身者が多数集うWeb集客のプロ集団です。長年多くの施設様をコンサルティングすることで培った知識を基に、OTAの活用方法や魅力的な予約プランの作成アドバイスなど、より良い経営を実現するお手伝いをさせていただきます。ホテル・旅館コンサルティング導入をご検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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