ダイナミックパッケージ導入で宿泊施設の収益向上を!宿泊業界向け解説

公開日 (更新日 2025.06.19)

マーケティング・集客を学びたい方
宿泊業界向け ダイナミックパッケージ導入で宿泊施設の収益向上を!

近年、旅行者のニーズが多様化する中で、「自分だけのオリジナル旅行」を求める傾向が強まり、ダイナミックパッケージの需要が急増しています。インターネットの普及や航空券・宿泊施設のオンライン予約の進化が、この流れを後押ししています。

この記事では、ダイナミックパッケージが注目されている背景と、宿泊施設が導入するメリットについて詳しく解説します。

ダイナミックパッケージとは

ダイナミックパッケージとは、旅行者が航空券やレンタカー、宿泊施設などを自身の希望に応じて自由に組み合わせることで作るパッケージツアーです。インターネットの普及とともに欧米で広まり、21世紀に入ってからは日本でも広く利用されるようになりました。旅行者はインターネット上で提供される豊富な選択肢の中から、自分の希望に合った航空券や宿泊施設を自由に選択し、予約・購入することができます。これらの商品は、旅行会社のウェブサイト、OTA(Online Travel Agent:オンライン旅行代理店)、航空会社のウェブサイトなどで取り扱われています。

ダイナミックパッケージが注目されている背景

ダイナミックパッケージが近年注目を集めている背景には、大きく分けて以下の2つの要因があります。

  • 旅行者のニーズの多様化
  • インターネットやスマートフォンアプリの普及

それぞれ詳しく解説していきます。

旅行者のニーズの多様化

従来のパッケージツアーは、旅行日程や宿泊先、観光ルートなどが事前に決められており、旅行者はその枠組みの中で行動する必要がありました。しかし、近年では、旅行者のニーズが多様化し、「他の人とは違う、自分だけの特別な旅行をしたい」というニーズが高まっています。

ダイナミックパッケージは、航空券とホテルを自由に組み合わせられるため、旅行者は自分の好みや目的に合わせて旅行プランをカスタマイズできます。例えば、

  • 行きたい都市だけを選んで周遊する
  • 複数のホテルに滞在して様々な体験をする
  • フライトの時間帯や航空会社を細かく指定する

など、従来のパッケージツアーでは難しかった自由な旅程を組むことが可能です。このような自由度の高さが、個性を重視する現代の旅行者のニーズに合致し、ダイナミックパッケージへの注目が集まる要因となっています。

インターネットやスマートフォンアプリの普及

近年、インターネットの普及とオンライン予約システムの進化により、旅行の手配が格段に簡単になりました。以前は、旅行代理店に足を運んでパンフレットを見ながら旅行プランを立てるのが一般的でしたが、現在では、パソコンやスマートフォンを使って、自宅にいながら簡単に航空券やホテルを予約する旅行者が増加しています。

ダイナミックパッケージは、オンラインで複数のサイトを比較検討しながら、自分の希望に合った航空券とホテルを自由に組み合わせ、一括で予約できます。この手軽さが、多忙な現代人にとって大きな魅力となり、ダイナミックパッケージの普及を後押ししています。

これらのメリットは、宿泊施設のビジネス戦略上も重要な要素となっています。

このように、旅行者のニーズの変化、インターネットやスマートフォンアプリの普及、という主な2つの要因により、ダイナミックパッケージが注目を集めていると言えるでしょう。

ダイナミックパッケージの特徴

ダイナミックパッケージの主な特徴は下記の3点です。

自由度の高さ

航空券、宿泊施設、レンタカーなど、様々な要素を自由に組み合わせることができるため、旅行者の多様なニーズに対応できます。

価格変動

需要と供給の関係によって価格が変動するため、お得に旅行を楽しみたい旅行者に人気です。

オンライン予約

インターネット上で簡単に予約できるため、旅行者は時間や手間を削減できます。

パッケージツアーとの比較

パッケージツアー ダイナミックパッケージ
金額 固定価格 変動価格
搭乗便 決められた便 空席のある便から選択
ホテル 決められたホテルまたは範囲内のホテル 自由に選択
変更 柔軟 原則変更不可
予約可能時間 店舗の場合:営業時間内
オンラインの場合:24時間可能
24時間可能
パッケージツアー ダイナミック
パッケージ
金額
固定価格 変動価格
搭乗便
決められた便 空席のある便から選択
ホテル
決められたホテルまたは範囲内のホテル 自由に選択
変更
柔軟 原則変更不可
予約可能時間
店舗の場合:営業時間内
オンラインの場合:24時間可能
24時間可能

ダイナミックパッケージ導入のメリット

ここでは、宿泊施設におけるダイナミックパッケージ導入の主なメリットを3つ紹介します。

  • 多様なニーズを持つ顧客へアプローチできる
  • 空室を有効活用することができる
  • 一括予約による顧客利便性の向上と満足度向上

多様なニーズを持つ顧客へアプローチできる

ダイナミックパッケージは、多様なニーズを持つ顧客に対応することができる柔軟性の高いサービスです。

  • 家族旅行、友人との旅行、一人旅など、様々な旅行スタイルに合わせて、航空券や宿泊施設を自由に組み合わせることができます。
  • 従来のパッケージツアーとは異なり、旅行日程を自由に設定できるため、顧客の都合に合わせた旅行プランを作成できます。
  • 航空券や新幹線、レンタカーと宿泊施設を自由に組み合わせられるため、遠方の顧客層にもアプローチが可能です。

空室を有効活用することができる

閑散期の客室稼働率向上は、宿泊施設にとって大きな課題です。 ダイナミックパッケージでは、航空券との組み合わせにより、宿泊料金を柔軟に設定することが可能となり、閑散期でも旅行者を呼び込むことができます。さらに、連泊割引や早割など、さまざまなプランを組み合わせることで、客室稼働率の向上と収益の増加が期待できます。

一括予約による顧客利便性の向上と満足度向上

ダイナミックパッケージでは、旅行者は宿泊施設だけでなく、航空券やレンタカー、現地ツアー、アクティビティ、旅行保険といった様々な関連サービスを、一括でまとめて予約することが可能です。これにより、複数のウェブサイトを行き来して

個別に予約する手間が省け、旅行計画の手間と時間を大幅に削減できます。このように、必要な旅行の手配をワンストップで行える利便性の高さは、顧客にとって大きな魅力となり、旅行体験全体の満足度向上に貢献します。

これらの3つのメリットを最大限に活かすことで、宿泊施設は集客力向上、収益増加、顧客満足度向上を実現することができます。

主なダイナミックパッケージの販売チャネル

ダイナミックパッケージを販売している主なチャネルは大きく分けて以下の4つに分類されます。

  • 航空会社
  • OTA(オンライン旅行代理店)
  • 旅行代理店
  • 宿泊施設の自社ホームページ

それぞれ詳しく解説していきます。

航空会社

多くの航空会社が自社のウェブサイトやアプリを通じて、ダイナミックパッケージを提供しています。航空券と宿泊を組み合わせたパッケージだけでなく、レンタカーや現地ツアーなどもセットで販売しているケースが多く見られます。航空会社が提供するダイナミックパッケージは、航空券の早期割引や座席アップグレードなど、航空会社ならではのサービスと組み合わせられる点が特徴です。航空会社の顧客基盤を活用することで、新たな顧客層へのアプローチが期待できます。また、航空会社のマイルやポイントプログラムと連携することで、顧客満足度にも貢献します。

代表的な航空会社

  • 日本航空(JAL)
  • 全日本空輸(ANA)

OTA(オンライン旅行代理店

楽天トラベルやじゃらんnetなどの大手OTAは、航空券、宿泊、レンタカーなど、幅広い旅行商品をダイナミックパッケージとして提供しています。OTAは、多様な宿泊施設や交通機関との提携により、幅広い選択肢と価格競争力のあるダイナミックパッケージを提供しています。また、OTAごとに顧客層が異なるため、自社のターゲット顧客に合ったOTAを選択することで、効率的な集客が期待できます。

OTAについては以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にして下さい。
>>OTAのメリットと注意点を解説!自社予約システムとの最適な併用法

代表的なOTA

  • じゃらんnet
  • 楽天トラベル
  • Expedia
  • Booking.com

旅行代理店

従来の旅行代理店でも、従来の対面式だけでなく、オンラインとオフラインの両チャネルでダイナミックパッケージの販売を強化しています。また、対面式の旅行代理店では、担当者との対話による顧客のニーズに合わせたきめ細かい対応が可能です。さらに、ダイナミックパッケージの手配だけでなく、顧客が旅行中のサポートを受けることができる点も大きな特徴です。

代表的な旅行代理店

  • JTB
  • HIS

宿泊施設の自社ホームページ

近年、自社の宿泊施設と航空券を組み合わせたダイナミックパッケージを自社のホームページで販売する施設が増えています。タイムデザイン社のツアービルダーなどのダイナミックパッケージ販売システムを利用することで、自社ホームページ上で容易にダイナミックパッケージの販売が可能になります。宿泊料金の割引だけでなく、旅行保険やアクティビティを含めたパッケージを自由に作成できます。宿泊施設を軸としたダイナミックパッケージを販売することで、顧客に直接アプローチができ、顧客満足度向上やリピーター獲得に繋がりやすい点が特徴の1つです。自社ホームページでの販売は、顧客データを活用したマーケティングや、自社独自の特典を付加した魅力的なパッケージを提供できる点が強みです。

各販売チャネルの比較

業種 メリット デメリット
航空会社 ・高単価な顧客層へのリーチが期待できる
・航空会社のブランド力を活用できる
・航空会社の販売戦略に影響を受ける
・手数料が高い場合がある
OTA ・効率的に顧客層へのリーチが可能
・リアルタイムでの在庫管理や価格設定が可能
・競合が多い
・手数料が高い場合がある
旅行代理店 ・特定の旅行代理店が持つ専門分野やターゲット層に合致する場合、効果的な集客が期待できる。 ・販売コントロールの自由度が制限される場合がある
・顧客データの共有が制限される場合がある
宿泊施設の自社HP ・その他の販売チャネルに比べ、手数料が安価な場合が多い
・様々な顧客ニーズへアプローチすることができ、自社予約比率向上につながる
・ダイナミックパッケージへの導線を整備するにあたり、自社ホームページの改修が必要である。

航空会社

【メリット】
  • 高単価な顧客層へのリーチが期待できる
  • 航空会社のブランド力を活用できる
【デメリット】
  • 航空会社の販売戦略に影響を受ける
  • 手数料が高い場合がある

OTA

【メリット】
  • 効率的に顧客層へのリーチが可能
  • リアルタイムでの在庫管理や価格設定が可能
【デメリット】
  • 競合が多い
  • 手数料が高い場合がある

旅行代理店

【メリット】
  • 特定の旅行代理店が持つ専門分野やターゲット層に合致する場合、効果的な集客が期待できる。
【デメリット】
  • 販売コントロールの自由度が制限される場合がある
  • 顧客データの共有が制限される場合がある

宿泊施設の自社HP

【メリット】
  • その他の販売チャネルに比べ、手数料が安価な場合が多い
  • 様々な顧客ニーズへアプローチすることができ、自社予約比率向上につながる
【デメリット】
  • ダイナミックパッケージへの導線を整備するにあたり、自社ホームページの改修が必要である。

このように、ダイナミックパッケージを取り扱う販売パートナーは多岐にわたっており、それぞれに特徴があります。ダイナミックパッケージを導入する際には、自社の状況や目標に合わせて最適なパートナーを選び、ダイナミックパッケージの販売に取り組むことが重要です。

自社HPにダイナミックパッケージを導入する際のポイント

自社でダイナミックパッケージを導入する際には、以下の点を十分に検討し、準備を整えることが成功の鍵となります。

システム連携の確認

ダイナミックパッケージは、宿泊だけでなく交通手段も組み合わせるため、様々なシステムとの連携が不可欠です。例えば、現在使用している自社予約システムや顧客管理システムと、新しく導入するダイナミックパッケージの予約システムが連携可能かを確認しましょう。システム連携が不十分な場合、予約の重複や顧客情報の一元管理が困難になり、業務効率の低下や顧客満足度の低下を招く可能性があります。そのため、API連携の可否、連携に必要な開発期間や費用、セキュリティ対策などを事前に確認することが重要です。システム同士がしっかりと連携でき、スムーズに情報共有できる環境を整えることが、ダイナミックパッケージ成功の第一歩です。

顧客サポート体制の整備

ダイナミックパッケージは、通常の宿泊予約よりも複雑になることがあります。そのため、旅行者からの問い合わせに丁寧に対応できる体制を整えることが重要です。例えば、電話やメールだけでなく、チャットなど多様な問い合わせ方法を用意したり、よくある質問をまとめたFAQページを作成するなど、旅行者が自己解決できる環境を整えると良いでしょう。海外からの旅行者も利用できるように、多言語対応を含めた丁寧なサポート体制を構築し、FAQやチャットボットなどを活用して自己解決を促進することも重要です。また、スタッフ向けの研修を実施し、ダイナミックパッケージに関する専門知識やトラブル対応スキルを向上させることも重要です。トラブル発生時の対応フローを明確化し、迅速かつ適切な対応ができる体制を整えましょう。

ダイナミックパッケージへの導線

ウェブサイトや予約ページへの導線は、ダイナミックパッケージの認知度と利用率に大きく影響します。以下の点を考慮し、効果的な導線を設計しましょう。

  • ウェブサイトの目立つ場所への掲載: ウェブサイトのトップページや予約ページなど、目立つ場所にダイナミックパッケージへのリンクを掲載し、バナー広告やテキストリンクなどを活用して視覚的にアピールしましょう。
  • 検索機能の強化: ウェブサイト内で航空券と宿泊施設を組み合わせて検索できる機能を強化し、旅行者が希望するプランを容易に見つけられるようにしましょう。
  • SNSやメールマガジンでの告知: SNSやメールマガジンでダイナミックパッケージの情報を発信することで、既存顧客や潜在顧客への認知度を高めることができます。
  • SEO対策: スマートフォン利用者に最適化することや、検索エンジン最適化(SEO)対策も重要です。モバイルフレンドリーなサイト設計や、地域キーワードを含めたコンテンツ作成を行い、検索結果での表示順位を高めましょう。

適切な導線を設けることで、ダイナミックパッケージへのアクセス数を増やし、自社予約数の増加に繋げることができます。

これらの点を踏まえ、自社HPにダイナミックパッケージを導入し、自社予約数を増加させることで、宿泊施設の利益向上を図ることができます。

まとめ

ダイナミックパッケージは、変化する旅行者のニーズに応え、宿泊施設の収益向上に大きく貢献する可能性を秘めた戦略です。従来のパッケージツアーとは違い、旅行者が航空券、宿泊、レンタカーなどを自由に組み合わせて、自分だけのオリジナル旅行を作れるのが魅力です。

宿泊施設がダイナミックパッケージを導入するメリットは多岐にわたります。

  • 空室を有効活用することができる
  • 多様なニーズを持つ顧客へアプローチできる
  • 関連サービス販売による収益向上が見込める

ダイナミックパッケージを取り扱う業種は、そして宿泊施設の自社ホームページでの直接販売など多岐に渡り、それぞれにメリット・デメリットが存在します。自社の状況やターゲット顧客を分析し、最適なパートナーを選ぶことが重要です。

また、自社でダイナミックパッケージに参入する際には、既存システムとの連携、社内体制の整備、そして顧客への導線設計など、周到な準備が不可欠です。

ダイナミックパッケージは、単なる流行ではなく、これからの宿泊業界において重要な戦略の一つと言えるでしょう。導入を検討する際は、メリットだけでなく、導入に伴う課題や準備事項も十分に理解し、計画的に進めることが成功への鍵となります。

旅館・ホテル宿泊予約システム「予約番」

自社予約システム「予約番」では、オプション機能として、自社の予約サイトでダイナミックパッケージの販売が可能になります。タイムデザイン社が提供する「国内ダイナミックパッケージプラットフォーム(TourBuilder)」との連携により、ANA・JALなどの大手国内航空会社やLCCを含む全13社の航空券を利用した「航空券付き宿泊プラン」や、大手レンタカー会社と連携した「レンタカー付き宿泊プラン」を初期費用・月額費用無料で、簡単な手続きで導入いただけます。ダイナミックパッケージ導入をご検討の際は、ぜひ「予約番」をご活用ください。詳細については、お気軽にお問い合わせください。
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