【宿泊施設経営者必見!】MEOとは?その重要性と注意点を解説
公開日 (更新日 2025.09.17)

近年、宿泊業界ではさまざまな集客方法が増え、各宿泊施設はOTA(オンライン旅行代理店)などのプラットフォームや、自社のウェブサイトを活用して集客を行っています。特に、地域に根ざした宿泊施設にとって、特定の地域への旅行を検討しているユーザーに対するアプローチは重要です。そこで、今注目されているのが「MEO(マップエンジン最適化)」です。
この記事では、MEO対策の基礎知識から具体的な手順、上位表示のポイントまで、宿泊施設の集客に役立つ情報をご紹介します。
MEO(マップエンジン最適化)とは?
MEOとは、「Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)」の略で、地図検索サービスやアプリ(Googleマップなど)で、お店や施設、サービスを検索した際に、自社の施設がより上位に表示されるように行う対策を指します。
なぜMEOが重要なのか?
現代において、スマートフォンは私たちの生活に不可欠なツールとなり、情報収集の際に、まずスマートフォンで検索することが一般的になりました。特に、飲食店や小売店、サービス業といった地域に根ざしたビジネスにおいては、スマートフォンによる地図検索が顧客との重要な接点となっています。そして、宿泊施設においても、この地図検索を通じた情報発信と顧客接点の構築は非常に重要になっています。JTB総合研究所の調査によると、旅行時の情報収集手段として49.2%のユーザーが地図アプリを挙げており、その重要性は増しています。
地図検索機能の進化
MEO(マップエンジン最適化)がここまで重要視されるようになったのは、スマートフォンの普及と合わせて、地図アプリ自体が大きく進化し、単なる位置情報検索ツールから、宿泊施設の予約に直結する強力なプラットフォームへと変貌を遂げたことにあります。
かつての地図アプリは、目的地へのルート案内が主な役割でした。しかし、現在の地図アプリは、以下のような多岐にわたる機能を提供し、ユーザーの利便性を飛躍的に向上させています。
- 公式ホームページへの直接リンク: 地図上で見つけた宿泊施設の詳細ページから、直接公式ホームページへアクセスできます。
- 空室状況の確認・料金比較: 提携する予約サイトと連携し、リアルタイムの空室状況や料金を比較検討できます。
- 口コミの閲覧: 実際に宿泊したユーザーの評価や感想を、その場で確認できます。
これらの機能により、ユーザーは複数のサイトを見比べたり、OTAを利用せずとも地図アプリを開くだけで、宿泊に関するあらゆる情報を一元的に収集・比較検討し、最終的な予約決定までを行うことが可能になりました。例えば、「観光地名 ホテル」と検索したユーザーは、地図上に表示された施設をタップするだけで、その施設の詳細情報、予約の可否、さらには実際に宿泊した人の生の声まで確認できるため、予約決定までのプロセスが大幅に短縮されています。
このように地図アプリが進化し、顧客の購買行動に深く関わるようになった今、MEO対策は集客戦略の要となっています。
したがって、MEO対策を行い、地図アプリ上で自施設が上位表示され、魅力的な情報が掲載されていれば、多くのユーザーの目に留まり、予約獲得の大きな機会に繋がります。地図アプリ上での露出を高めることは、宿泊施設を探している潜在顧客に効果的にアプローチするための、最も効率的かつ効果的な手段の一つと言えるでしょう。
競争優位性の確立
地図検索の機能充実は、今後も加速すると考えられます。AI技術の進化により、ユーザーの過去の検索履歴や位置情報、好みなどを分析し、よりパーソナライズされた宿泊施設の提案が地図アプリ上で行われるようになる可能性があります。例えば、特定のイベント会場に近いホテルや、特定の設備を備えた旅館など、ユーザーがまさに求めている情報が、地図上で視覚的に、かつ瞬時に提示されるようになります。また、ユーザーが宿泊施設近辺や、館内を見ることができるGoogleストリートビューを活用した360度バーチャルツアー機能や、施設のリアルタイム混雑状況の表示など、次々と新しい機能が追加されています。
このような状況下において、地図アプリでの表示内容や情報の質が、顧客獲得の決定打となります。MEO対策を積極的に行い、地図アプリ上で施設の情報を常に最新かつ魅力的に保つことは、変化する顧客行動に対応し、競合施設との差別化を図る上で不可欠です。地図アプリの機能拡張に合わせてMEO戦略を最適化することで、他施設に先んじて潜在顧客にアプローチし、選ばれる存在となるための競争優位性を確立できると言えるでしょう。
SEOとの違い
ウェブサイト集客を目的とした施策の一つに、MEOと類似した言葉である「SEO」があります。
SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は、検索エンジンの検索結果においてウェブサイトを上位に表示させることを目的とした施策です。SEOの目的は、幅広いキーワードで検索するユーザーにウェブサイトを見つけてもらい、アクセス数を増やすことです。
一方、MEOは、地図検索結果やローカル検索結果において上位表示されることを目的とした施策です。特定の地域で店舗やサービスを探しているユーザーに、ダイレクトにアプローチすることができます。
以下に、SEOとMEOの違いを記載します。
SEO | MEO | |
---|---|---|
目的 | 検索結果で上位表示されることで、ウェブサイトへのアクセス数を増やす | 地図検索結果で上位表示されることで、その地域へ訪れるユーザーの来館・問い合わせを促す |
対策 | ウェブサイトの内部対策 (コンテンツ最適化、内部リンクなど) 外部対策(被リンク獲得など) |
Googleビジネスプロフィールの情報最適化 (正確な情報、写真、口コミ管理、定期的な情報発信など) |
競合 | インターネット上の同業他社ウェブサイト | 近隣の同業他社がメイン |
宿泊業界でMEOを活用するメリット
先述したように、地図検索やローカル検索の利用は年々増加しており、宿泊業界でもその傾向が現れています。この流れを受け、MEO(マップエンジン最適化)の重要性は今後ますます高まるでしょう。
ここでは、宿泊業界でMEOを活用する主なメリットとして、以下の3点を解説します。
- 特定地域への旅行検討者の集客に繋がる
- 持続的な集客が期待できる
- 予約への直結
特定地域への旅行検討者の集客に繋がる
下記の図が示すように、検索結果のファーストビューにおいてローカル検索結果が大きな面積を占めており、SEOで1位のウェブサイトよりもMEOで1位のGoogleビジネスプロフィールの方が圧倒的に視認性が高く、より多くのクリックを獲得できることが期待できます。
【PC版検索画面】
【スマホ版検索画面】
また、地域に特化したキーワード(例:「〇〇市 温泉旅館」)での最適化は、その地域への旅行を計画している観光客からの検索に対応し、来館確度の高い顧客への集客力強化に繋がります。
来館確度の高い顧客に対して訴求できる
Googleマップを利用して宿泊施設を探すユーザーは、多くの場合、具体的な目的意識を持っており、来館意欲が高い傾向にあります。MEO対策を行うことによって、来館確度の高い顧客に直接アプローチできるため、高い集客効果が期待できます。
宿泊施設を探すユーザーは、旅行や出張など、特定の目的を持って特定の地域に滞在する必要があるため、漠然としたニーズではなく、特定の地域や日程といった具体的なニーズを持っている場合が多いです。また、宿泊施設を選ぶ際、立地、周辺環境、交通アクセスなどが重要な判断基準の一つとなるため、地図アプリや検索エンジンと連携したMEO対策を行うことで、施設情報や地域情報を充実させ、ユーザーに有益な情報を発信することができます。
なお、ビジネスホテルをはじめとする一部の宿泊施設では、急な要件で宿泊を必要とするユーザーから直接予約が入るケースも見られます。このような「今すぐ泊まれる場所を探している」というユーザーに対して、MEOは効果的なアプローチが可能であり、大きなメリットと言えるでしょう。
持続的な集客が期待できる
MEOはGoogleビジネスプロフィールへの登録と最適化が主な対策となります。ビジネスプロフィールへの登録は無料であり、大きな初期費用はかかりません。また、自社内で情報更新などの基本的な対策を行えるため、運用コストも抑えられ、持続的な集客が期待できる施策です。さらにSEOと比較して、設定も複雑ではなく、ウェブに関する知識がなくても始められることも大きな利点です。
繁忙期や特定のイベントの際には、予算に応じてMEO広告(ローカル検索広告)を出稿することも可能です。MEO広告は、GoogleマップやGoogle検索結果のローカルパックに表示される有料広告であり、少額からの出稿が可能で、クリック課金制、詳細なターゲティング、即効性などの特徴があります。MEOと相乗効果の高いMEO広告を適切に組み合わせることで、最大限の集客効果を得ることも期待できます。
ただし、SEOと同様にMEOも日々仕様やトレンドが変化しているため、継続的な情報収集が不可欠です。MEOの代行業者の数も増えているため、自社のリソースなどを考慮して、自社で行う範囲と外部に委託する内容を検討することで、MEOの効果を最大限に高め、持続的な集客が期待できます。
予約への直結
地図上の表示から電話番号や問い合わせボタンを設置できるため、ユーザーが直接コンタクトを取ったり、ホームページへ誘導したりすることで、コンバージョン率の向上に繋がります。さらに宿泊施設においては、無料予約リンクを設置することで、予約に直接繋がる効果も期待できます。
Google無料予約リンクについては以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にして下さい。
>>Free Booking Links(無料予約リンク)とは?Googleビジネスプロフィールを活用して自社予約増加を目指す!
MEO対策の手順

ここでは、GoogleにおけるMEO対策を効果的に行うための手順を解説します。
Googleビジネスプロフィールの最適化と継続的な運用
MEO対策にはGoogleビジネスプロフィールの内容を最適化し、継続的に運用することが不可欠です。具体的には、下記の内容を正確に登録し、充実させることが重要です。
Googleビジネスプロフィールへの登録と認証
まず、Googleビジネスプロフィールにビジネス情報を登録し、認証を完了させます。登録する際、正確なビジネス名、住所、電話番号(NAP情報)を入力し、ウェブ全体で一貫性を保たせ、Googleに正確な情報を認識させます。また、オーナー認証を行うことで、Googleからの評価が向上します。
詳細情報の登録と管理
ビジネスのカテゴリ(メイン1つ、サブ9つまで)、営業時間、ウェブサイト、サービス内容、写真、動画など、詳細な情報を入力します。これらを適切に設定することで、検索結果に表示されやすくします。関連性の低いカテゴリーは避け、正確な情報を選択しましょう。
写真と動画の追加
施設の写真や動画を多数追加し、視覚的にアピールします。具体的に、施設の内外観、料理、サービス、客室の様子などを掲載するとより効果的なユーザーへのアピールに繋がります。
最新情報の投稿
定期的に最新情報を投稿し、ユーザーへ施設の魅力をアピールします。投稿機能ではイベント情報、キャンペーン情報なども発信可能です。
口コミの促進と返信
ユーザーに積極的に口コミ投稿を依頼し、口コミ数を増やします。QRコードやリンクを作成することで、より顧客が口コミ投稿を気軽に投稿を行えるようになります。さらに、良い口コミだけでなく、悪い口コミにも丁寧に返信し、誠実な姿勢を示します。口コミを通して顧客とのコミュニケーションを積極的に行い、信頼関係を構築することが可能です。
Googleビジネスプロフィールについては以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にしてください
>>【宿泊施設向け】Googleビジネスプロフィールで集客力UP!機能と活用メリット解説
ウェブサイトの最適化
MEO対策には、上記のようにGoogleビジネスプロフィールを最適化が重要ですが、ウェブサイトの最適化と連携することで、より高い効果が期待できるといわれています。具体的には、下記のポイントが重要となります。
ローカルSEO対策
ウェブサイトに地域キーワードを含めたコンテンツを作成し、ローカルSEO対策を行います。また、店舗の所在地、営業時間、連絡先などをウェブサイト内に明確に記載します。一般的に、Googleビジネスプロフィールと関連性の高いウェブサイトは、MEOの評価においても有利に働く可能性があると考えられています。
モバイルフレンドリー対応
スマートフォンやタブレットなど、多様なデバイスに対応したウェブサイトを作成します。モバイルユーザーの利便性を高めることは、MEO対策においても重要です。
これらの手順を継続的に実施することで、Googleマップ検索結果での上位表示が期待でき、集客効果を高めることができます。
MEO対策を行う際の注意点

基本情報を統一させる
MEO対策で最も重要な点は、施設名、所在地、電話番号(NAP情報)といった基本情報を、Googleビジネスプロフィール、施設のウェブサイト、各種予約サイト、SNSなど、あらゆるオンライン上の情報で完全に一致させることです。情報が異なると、Googleは信頼性を判断できず、検索順位の低下に繋がる可能性があります。また、ユーザーの混乱を招き、予約をためらう原因にもなりかねません。
対策として、定期的に全ての掲載情報を確認し、差異があれば迅速に修正することが重要です。 特に、移転や電話番号の変更時には、漏れがないよう確実な更新が不可欠です。
情報を充実させる
単に基本情報を登録するだけでなく、ユーザーが知りたい情報を網羅的かつ魅力的に提供することが、集客力向上に繋がります。
例えば、施設の雰囲気や客室、料理などを伝える高画質の写真や動画は、ユーザーの興味を引きつけ、予約意欲を高めるでしょう。
さらに、Googleビジネスプロフィールの投稿機能を活用して、イベント情報や季節限定プラン、休館日などの最新情報を発信することで、ユーザーの来館を促しましょう。
キーワードを分析する
ユーザーがどのような言葉で宿泊施設を探しているかを理解し、適切なキーワードを対策に反映させることがMEO対策の基本です。ただし、自社のサービスと無関係なキーワードを設定しても、効果は期待できません。Googleキーワードプランナーなどのツールを活用して、地域名や施設の特長に関連するキーワードの検索ボリュームや競合性を分析し、ターゲット顧客がどのような言葉で検索しているかを把握することが重要です。
調査したキーワードは、Googleビジネスプロフィールのビジネス情報、投稿、ウェブサイトのコンテンツなどに自然な形で組み込むことが大切です。
ガイドラインを確認する
Googleビジネスプロフィールには、遵守すべきガイドラインが存在します。違反行為は、検索順位の低下やアカウント停止に繋がるため、必ずガイドラインを確認し、ルールに沿った運用を心がけましょう。具体的には、以下の点を常に意識してください。
- 常に最新のガイドラインを確認する: Googleのルールは変更される可能性があるため、定期的な確認を怠らないようにしましょう。
- 虚偽の情報を掲載しない: 間違った情報や誇大な広告は、ユーザーの信頼を損ない、ガイドライン違反となります。
- スパム行為は行わない: 口コミの捏造や不自然なキーワードの使用といった不正なランキング操作は厳禁です。
- 地域情報は正確に記載する: 所在地や電話番号は正確に登録し、意図的な誤りは絶対に避けるべきです。
これらの注意点を守り、丁寧かつ継続的にMEO対策を運用していくことで、より多くのユーザーに宿泊施設の魅力を効果的に伝え、確実な集客力向上に繋げられるでしょう。
まとめ
MEO(マップエンジン最適化)は、宿泊施設経営者にとって集客力を高めるための強力なウェブマーケティング施策です。特定の地域で店舗やサービスを探しているユーザーに直接アプローチできるため、実店舗や地域ビジネスを展開する事業者にとって特に有効です。スマートフォンの普及により、周辺情報の検索数が増加している状況において、MEOの重要性はますます高まっています。
MEOを活用することで、地域密着型の集客、来館確度の高いユーザーへの訴求、低コストでの持続的な集客、そして予約への直接的な繋がりが期待できます。ビジネスプロフィールの設定、適切なカテゴリーの選定、定期的な投稿、NAP情報の統一、最新情報の維持、SEO対策、そして口コミの管理といった具体的な対策を行うことで、効果的にMEOを活用できるでしょう。
宿泊業界でも重要視されているMEOを取り入れ、集客力を最大化するための一歩を踏み出しましょう。
旅館・ホテル宿泊予約システム「予約番」
旅館・ホテル宿泊予約システム「予約番」は、成約手数料が一切不要であり、予約実績によって基本利用料金が変動することのない、ローコスト・ハイリターンの自社予約システムです。オプション機能として、Googleビジネスプロフィールを設定していただくと、Googleで施設名を検索した場合に表示される「Googleホテル検索の無料掲載枠(Free Booking Links)」に、他のOTAと並んで「予約番」の料金情報が掲載できます。MEO対策を行い、自社プランへの販促経路を拡大させ、自社予約比率の向上を目指すためにも、予約システムの見直しの際は、ぜひ一度お問い合わせください。
