自社予約率アップの秘訣!宿泊予約システムの重要性と選び方

公開日 (更新日 2025.10.07)

デジタル戦略を学びたい方

宿泊業界は、深刻な人手不足、多様化する顧客ニーズ、高騰するOTA手数料といった課題に直面しています。このような状況下で、業務効率化と収益向上は持続的な成長に必要不可欠と言われています。
この記事では、宿泊施設の業務効率化と収益向上に欠かせない「宿泊予約システム」に焦点を当て、その重要性から導入のメリットまでを詳しく解説していきます

宿泊予約システムとは

「宿泊予約システム」とは、ホテルや旅館などの宿泊施設が自社公式サイト上で宿泊予約を受け付け、予約情報を一元管理するためのシステムです。「ブッキングエンジン」とも呼ばれます。
予約を受け付けるだけでなく、顧客管理や、自社予約ならではの魅力的な宿泊プランの作成など、宿泊施設の運営を多角的にサポートする機能を備えているのが一般的です。

基本機能

宿泊予約システムは、提供している会社によって細かい機能の差はありますが、宿泊予約に関する業務を効率化し、顧客満足度を高めるための様々な基本機能が搭載されています。主な機能を以下の表でご確認ください。

機能 概要
予約管理 インターネット経由の予約受付、予約内容の確認・変更・キャンセル処理などをオンラインで行えます。
空室管理 客室の在庫状況をリアルタイムで管理し、ダブルブッキングを防止します。
プラン/料金設定 宿泊プランの作成、料金設定や変更、期間限定プランの公開など、柔軟な料金戦略を可能にします。
顧客管理 宿泊者情報や予約履歴を一元的に管理し、リピーター分析や顧客対応のパーソナライズに役立ちます。
オンライン決済 クレジットカード決済など、オンラインでの事前決済を可能にし、ノーショー対策や会計業務の効率化に貢献します。
多言語対応 予約画面や確認メールなどを多言語で表示することで、海外からの旅行者にもスムーズに予約していただけます。(自動翻訳機能付きのシステムもあります)
会員機能 会員登録機能を提供し、会員限定プランの販売やポイント付与などを通じて、顧客ロイヤリティを高めます。
通知メール 予約完了時や変更時、キャンセル時などに、宿泊施設と予約者双方へ自動で通知メールを送信し、確認作業を自動化します。

これらの基本機能を活用することで、人的ミスを減らし、業務効率を向上させることが可能です。

宿泊予約システムの重要性

OTAから直接予約への誘導戦略

現在の宿泊業界における予約経路は、日本旅館協会が発表した「令和4年度 営業状況等統計調査」によると、ネット業者(OTA)経由が45.3%と約半数を占めている一方で、自社HP経由は14.9%にとどまっています。OTAは集客に優れる反面、高額な手数料が発生する場合が多く、売上が増えても手元に残る利益を減少させ、経営を圧迫する大きな課題となっています。

しかし、OTAで施設を知った顧客が、より詳細な情報を求めて公式サイトを訪れ、最終的にそこで予約を完結させる「ビルボード効果」が注目されています。これは、OTA経由の予約を自社HPでの直接予約へと転換させる大きな機会であり、この転換を促進することで、OTA手数料による収益の圧迫を軽減し、利益率を高めることが可能になります。

参照:一般社団法人日本旅館協会「令和4年度 営業状況等統計調査(令和3年度財務諸表より)」

OTAの自社予約システムとの最適な併用方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にして下さい。
>>OTAのメリットと注意点を解説!自社予約システムとの最適な併用法

自社予約システムによる収益最大化

このビルボード効果を最大限に活用し、収益を最大化するためには、魅力的で使いやすい自社予約システムの導入が不可欠です。 自社HPから予約システムへのスムーズな導線を確保し、ユーザーが迷うことなく予約を完了できる環境を整えることが重要です。
自社予約はOTA手数料が発生しないため、その分の売上が直接施設の利益となり、収益性の向上に直結します。OTAと自社予約システムを効果的に併用することで、集客力と収益性の両立を図り、宿泊施設の安定した経営基盤を築くことができるでしょう。

宿泊予約システムを導入するメリット

宿泊予約システムを導入することで得られるメリットは多くあります。
具体的なメリットを3つ紹介いたします。

収益向上

予約機会の拡大

インターネットを通じて24時間365日予約を受け付けることができるため、電話対応時間外や休業日でも予約を取りこぼすことがなくなります。これにより、潜在的な予約機会を最大限に活かし、機会損失を減らして収益の増加を実現することができます。

OTAへの手数料の削減

自社公式サイトからの予約比率を高めることで、高額なOTAへの手数料支払いを削減することができます。

予約単価の向上

予約プロセスの中で、より上位の客室プランや、食事、レイトチェックアウトなどの追加オプションをスムーズに提案することができます。これにより、お客様の満足度を高めながら、1予約あたりの単価を向上させることが可能になります。アップセル・クロスセルを促進し、収益の最大化を図ることができるでしょう。

顧客ロイヤリティの向上

宿泊予約システムの導入は、収益向上だけでなく、顧客との関係性を強化し長期的な視点での経営安定にも繋がります。

自社ブランドの確立とリピーター育成

自社予約の場合、OTAへの高額な手数料を支払う必要がない分、お客様に対して特別な特典(例:ウェルカムドリンク、アメニティのグレードアップなど)を提供することが可能です。これにより、お客様は「公式サイトで予約するメリット」を強く感じ、自社予約への動機付けをさせることで顧客の囲い込みや、施設のファンを増やすことに繋がります。リピーターが増えることで、繁忙期だけでなく閑散期にも安定した集客が期待できます。

リピーターの重要性や具体的な施策、具体例については以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にして下さい。
>>ホテル・旅館(宿泊施設)のリピーターを増やすための施策や事例を紹介!

パーソナライズされた顧客体験の提供

過去の予約情報や顧客情報を一元的に管理することで、お客様一人ひとりのニーズに合わせた情報提供やプラン提案が可能になります。例えば過去の宿泊履歴に基づいて、好みに合った客室タイプやプランを、ダイレクトメールやメールマガジンで案内することで、顧客ロイヤリティを高め、再訪を促すことができます。

業務効率化

宿泊業界の深刻な人手不足に対し、宿泊予約システムの導入は業務効率化を実現する有効な手段となります。

人的作業の自動化による業務効率向上

これまで人が行っていた予約情報の入力、確認、変更、キャンセル処理などをシステム上で自動化できます。また、予約者自身が予約内容をオンラインで確認できるため、電話での問い合わせ対応件数を大幅に削減できます。

予約情報の一元管理、在庫調整の自動化に伴う人的ミスの削減

顧客情報や予約状況が一元的に管理されるため、部門間での情報共有がスムーズになり、連携ミスを防ぎます。これにより、フロント業務やハウスキーピングなど、各部署が常に最新の情報を把握し、より質の高いサービス提供に注力できるようになります。
さらに、リアルタイムでの空室管理により、煩雑な在庫調整やダブルブッキングのリスクを軽減します。(完全に防止できるわけではありません。)

外部システムとの連携による更なる効率化

オンライン決済機能と連携することで予約者自身で予約金額の確認、請求書の発行を行うことができるようになります。また、サイトコントローラーと連携することで、自社予約システムだけでなく、複数のOTAの在庫や料金を一元的に管理し、煩雑な調整作業から解放されます。さらに、PMS(ホテル管理システム)との連携により、予約情報や顧客情報をシームレスに連携させ、ホテル運営全体の効率を飛躍的に高めることが可能です。

サイトコントローラーをご導入いただくメリット、注意点については以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にして下さい。
>>サイトコントローラーで業務効率化!特徴と選定ポイントを解説

宿泊施設の業態別:宿泊システム選定のポイント

宿泊予約システムは多種多様なものが提供されており、施設の形態や規模によって最適なシステムは異なります。ここでは代表的な宿泊施設のタイプ別に、おすすめの宿泊予約システムの傾向と選定のポイントをご紹介します。

細かな施設形態ごとの特徴については以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にして下さい。
>>日本における宿泊施設の種類一覧!ホテル・旅館の経営形態も解説

ビジネスホテル

[特徴]
比較的客室数が多く、宿泊に特化したシンプルなサービスが中心。回転率と効率性を重視。
ビジネスや観光目的の個人客が多く、宿泊日希望日が明確な場合が多い。
[選定時のポイント]
予約完了までのステップが少なく、スマートフォンからの予約がしやすい直感的なインターフェースであること。
オンライン決済機能が標準搭載されているか(または安価なオプションとして利用可能か)

シティホテル

[特徴]
比較的客室数が多く、多様な客室タイプを持つ。
レストラン、宴会場、エステなど付帯施設が充実している場合が多い。
宿泊料金はビジネスホテルよりも高額な傾向があり、利用体験の提供を重視。
[選定時のポイント]
細やかな料金設定が可能であること。団体予約や法人予約に対応できる機能があること。
多言語対応が充実していること

リゾートホテル

[特徴]
一般的に2食付きプランが多く、多様なアクティビティや付帯施設を提供。
パッケージプランやオプション販売機能が重要。
[選定時のポイント]
宿泊以外の付帯サービス(アクティビティ、食事など)の予約管理や航空券やレンタカーとのセットプラン販売機能があること。

カプセルホテル

[特徴]
簡易的な寝室を提供し、安価な宿泊が特徴。
終電逃しやイベント遠征など、短期滞在の利用が多い。
[選定時のポイント]
施設規模に応じた柔軟な料金体系であること。
少ないクリック数で予約完了できるシンプルな導線であること。

旅館

[特徴]
和室中心で、食事に力を入れている施設が多い。
顧客への細やかなサービス提供が重視されることが多い。
[選定時のポイント]
プランごとにデザインを柔軟に変更できること。
食事のアップグレードや追加オプションを細かく設定できること。
子供料金の設定を細かく行えること。

グランピング

[特徴]
快適な設備を備えたキャンプ施設。
レンタル品や追加購入品の予約機能、日帰りプランの受付機能などが求められる。
[選定時のポイント]
滞在中に必要なレンタル品や追加購入可能な物品を予約時に選択できる機能があること。
キャンプサイトのみの利用(日帰りプラン)を受け付けられること。サイト利用料の設定ができること。

キャンプ場

[特徴]
キャンプ張りやバーベキューなど宿泊者自身で準備を行うことも多い。
体験要素が強く、宿泊者によって細かな要望が異なる。
[選定時のポイント]
キャンプ場内への入場料、客室単位ではなくサイト(テントを貼る区画)単位での販売など 他形態と異なるものが多いためキャンプ場の販売に則した機能があること。

ゲストハウス

[特徴]
共有スペースが多く、安価な宿泊が特徴。ベッド単位での販売が多く、インバウンド需要も高い。
[選定時のポイント]
ベッド単位での販売ができること。初期導入費用や月額利用料が比較的安価であること。

宿泊予約システムの導入費用ついて

宿泊予約システムの導入には、一般的に、以下の費用が発生する可能性があります。

  • 初期費用

    システム導入時に発生する費用です。

  • 月額利用料

    システムの月額利用料は、主に以下の2パターンです。

    • 固定費制
      固定費用のみの場合は、予約数が多い場合でも、予約数が増加しても追加費用が発生しないため1予約あたりのコストが割安になり、コストパフォーマンスが高まります。
    • 予約金額に応じた従量課金制
      小規模施設や新規開業施設など予約数の見込みが立っていない際には、無駄なくコストを抑えることが可能です。

    どちらの料金体系が自社に合うかは、現在の予約数、今後の成長戦略、予算などを総合的に考慮して判断することが重要です。

  • オプション機能利用料

    基本機能以外に追加の機能を利用する場合に発生する費用です(例:高度な分析機能、特定の外部システム連携など)。

  • 決済手数料

    オンライン決済機能を利用する際に、決済金額に応じて発生する手数料です。

  • 外部システム連携費用

    サイトコントローラーやPMSなど、外部システムとの連携に別途費用が発生する場合があります。

上記の通り、一般的な料金体系としては、「初期導入費用」・「月額固定料金または従量課金」が多く見られますが、予約システムによっては、月額利用料として「月額固定料金+従量課金」のどちらもかかる場合もあります。
また一方で、初期費用と月額利用料が無料である代わりに、決済手数料が高めに設定されているシステムや、施設規模や予約件数に応じて料金プランが変動するシステムも存在します。

導入を検討する際は自施設の予約状況や運営規模を考慮し、総費用を比較検討することが重要です。また、無料トライアル期間などを設けている宿泊予約システムも多いため、実際にシステムを操作し、より自施設に合ったシステムを選ぶことが重要です。

導入時の注意点

宿泊予約システムは施設の運営において非常に重要な基盤となるシステムです。
しかし、導入したからといって必ずしも良い効果があるとは限りません。
ここでは、宿泊予約システムを導入する際の、注意点について解説します。

サポート体制が整っているか確認する

導入後のサポート体制が充実しているかを確認することは非常に重要です。 
予約システムは、宿泊施設側だけでなく予約者側も操作するシステム(画面)であるため、双方にとって使いやすく、万が一トラブルが発生した場合に迅速かつ丁寧に対応してもらえるサポート体制が不可欠です。

初期導入時のサポート

システム導入時の説明や操作方法のレクチャーを実施しているかどうかも重要な選定ポイントです。
宿泊システムごとに施設側管理画面のレイアウトや表記が異なるため、すでにシステムを導入してる場合でも既存システムからの切り替えを行うと初期設定に手間取るケースが多くあります。
訪問、オンラインでの初期設定サポートを行っているシステムもあるので、施設スタッフのITスキルやシステムの慣れ具合に合わせてサポート体制を事前に確認することは必須です。

導入後のサポート

運用開始後の疑問点や不具合に対する問い合わせ窓口、対応時間、対応方法(電話、メール、チャットなど)を確認しましょう。
特に宿泊施設にとって土日や連休は繁忙期となるため、そうした時期にトラブルが発生した場合でも、迅速に対応してもらえる体制が整っているかを確認することが必須です。電話がすぐに繋がるのか、24時間対応が可能かなど、具体的なサポート体制について事前に確認しておくことが大切です。

既存システムとの連携を確認する

すでにサイトコントローラーやPMS(ホテル管理システム)などの既存システムを利用している場合、導入を検討している宿泊予約システムがそれらのシステムとスムーズに連携できるかを確認することは、非常に重要です。
連携ができない場合、予約情報や顧客情報をそれぞれのシステムに手動で入力する必要が生じ、人的ミスや業務効率の低下に繋がってしまいます。
各システムによって連携できるシステムが異なるため、事前にしっかりと確認する必要があります。

また連携にあたって追加の費用が発生する場合もありますので、連携費用についても確認しておくことが大切です。
スムーズなシステム連携は、業務効率化を図る上で不可欠な要素と言えるでしょう。

予約システムの導入だけで終わらせない

高機能な宿泊予約システムを導入したとしても、施設のWEBサイトの予約導線が適切でなければ、効果を十分に発揮することはできません。
より自社予約比率を向上させるためには、WEBサイトのトップページからの導線はもちろんのこと、客室ページや施設案内ページなど、様々なページから予約システムへスムーズに遷移できるように設計することが重要です。

例えば、客室ページから希望の条件(宿泊日、人数など)が自動的に予約システムに引き継がれた状態で遷移させるなど、予約検討者が再度検索する手間を省くような工夫が必要です。

また、公式サイトから予約することのメリットをユーザー明確に提示することも重要です。「公式サイト限定 最低価格保証」や「自社予約特典」などを記載することで、OTAで情報収集したユーザーを自社予約に誘導することができます。OTAに掲載されていない詳細な情報を自社WEBサイトで提供し、予約導線を最適化することで、OTAへの流出を防ぎ、自社予約率の向上に繋げましょう。

まとめ

宿泊予約システムは現代の宿泊施設経営において収益向上、顧客ロイヤリティ向上、
そして業務効率化を実現するための不可欠なツールです。

OTAへの依存低減による利益最大化や、顧客管理でのリピーター育成、予約業務自動化によるスタッフの業務負担軽減など、宿泊予約システム導入による効果は多岐にわたります。
最適な宿泊予約システムを選ぶには、規模・予算に加え、機能、サポート、連携可否を吟味する必要があります。また、宿泊予約システムの導入効果を最大限に引き出すには、ウェブサイトの予約導線最適化も欠かせません。

自施設にとって最適な予約システムを導入し、自社予約比率向上と収益アップを目指しましょう。

旅館・ホテル宿泊予約システム「予約番」

宿泊予約システム「予約番」は、成約手数料一切不要で、予約実績によって基本利用料金が変動することがないローコストハイリターンの自社予約システムです。 多言語対応、オンライン決済機能を搭載しており、施設様の業務効率化を図ることが可能です。 また会員機能やクーポンやポイントといった機能でリピーター施策を促進し、顧客ロイヤリティの向上を目指すことが可能です。 専任の自社社員によるシステムご導入後のサポートも行っており、ご利用中のお困りごとのご相談先としてご活用いただけます。 自社予約システムご検討の際には、ぜひ一度お問い合わせくださいませ。