宿泊客を“ファン”にする会員制度の作り方〜選ばれ続ける宿になるための顧客囲い込み施策〜
公開日 (更新日 2026.01.30)

ホテルの会員制度を上手に活用して、宿泊客を熱心な“ファン”へと育てたいと考えている宿泊施設の経営者は多いのではないでしょうか。
近年、特典、ポイントプログラムなどを利用し、上手に顧客囲い込みを図ることが求められています。
この記事では、実際の会員制度の導入方法からメリット・デメリット、予約の効率化、ランクアップ制度まで幅広く解説します。
会員制度を効果的に運用することで、リピーター確保や客単価向上、競合との差別化を実現できるようになります。
目次
なぜ宿泊施設に「会員制度」が必要なのか?
宿泊施設にとって会員制度は、リピーター獲得や顧客満足度を高めるために有効な施策となり得ます。
現代の宿泊業界が抱える課題
現代の宿泊業界では、宿泊費の高騰、OTA(オンライントラベルエージェント)への手数料負担、閑散期の稼働率低下、そして公式サイトからの直接予約比率の伸び悩みなど、数多くの経営課題に直面しています。
高まる「直接予約」と「リピーター確保」のニーズ
こうした状況下で安定した経営を目指すには、顧客満足度向上とリピーター確保が急務です。
特に、手数料負担を軽減し収益性を改善するために、公式サイト予約の比率を高めたいというニーズは非常に高まっています。
課題解決の鍵となる「データ活用」
一方、現代の顧客ニーズは多様化しているため、個々の顧客に合わせた体験を提供しなければ顧客満足度を高めることは困難と言われています。そこで重要となるのが「会員制度」です。
顧客データを蓄積し、顧客をセグメント化(分類)した上で活用することで、パーソナライズされた特典を提供することができるようになります。
宿泊業界が抱える課題を解決し、効果的なプロモーションを通じて顧客と長期的な信頼関係を築くために、ブランドロイヤルティの強化やプロモーションが求められています。
会員制度導入がもたらす宿泊施設へのメリット
会員制度を導入することで会員獲得によるリピーターの確保以外にも、多くのメリットが期待できます。
パーソナライズされたサービス提供できる
会員制度を導入し顧客データを蓄積することで、顧客個々の嗜好や宿泊履歴に応じたパーソナライズサービスの展開が可能となります。
例えば、会員権を持つ顧客にはリゾート施設で限定特典を用意した、ポイントプログラムによって次回宿泊時に割引やアップグレードを提供することができます。 顧客の好みを反映した記念日・バースデー特典のカスタマイズも期待されます。
このような個別対応は顧客満足度の向上につながり、リピーターの育成や口コミによる新規顧客獲得にも好影響を与えます。
これらの施策により、顧客との継続的な信頼関係を構築できます。
自社予約増加による収益が向上する
会員制度の導入は、公式サイトからの予約やメルマガなどからの流入を促し、OTAに依存しない収益構造を確立させる1つの施策です。
例えば会員限定プランやポイント還元を設けることで、宿泊客は自社サイトからの予約を選ぶメリットを感じやすくなります。
これによりOTA手数料負担が減り、利益率の改善が期待できます。
さらに、会員権の獲得を通じてリピーターの獲得が見込め、閑散期も安定した予約数の確保につながります。
顧客満足度向上により、口コミが増加する
会員制度を活用することで、既存会員による口コミや紹介が新規顧客獲得の強力な原動力となります。
例えば、特典やランクアップを通じて顧客満足度が高まれば、自然とSNSやレビューサイトへのポジティブな投稿が増加します。
紹介キャンペーンやポイント付与などを活用した紹介制度も効果的です。
特に信頼性の高い口コミは、広告や一般のプロモーションより強い集客力を持っています。
会員制度を効果的に運用することで、紹介から会員登録・予約につながり、結果的に宿泊施設の認知度とリピーター率を高めることができます。
競合との差別化を図ることができる
ホテル会員制度は、多様な特典やランクアップ、会員限定プランなどを通じて他の宿泊施設との差別化を図る有力な武器になります。
公式サイト予約やポイントプログラム、アップグレードなどの優先サービスは、顧客にとって大きな魅力となり、“このホテルだからまた泊まりたい”という動機づけにつながります。
リゾートや都市型ホテルの多様な施設でも、会員だけの特典や限定予約枠があれば選ばれる理由になります。
競合施設と差をつけるためには、継続的な制度の見直しや独自のサービス開発が必要です。会員制度は、ブランドロイヤルティを高める中核となります。
会員制度、何から始める?実践的なステップ
会員制度を成功させるには、目的や特典設計など段階的な実践ステップを踏むことが重要です。
具体的なステップごとに解説します。
ステップ1:目的とターゲットの明確化
まずは会員制度を導入する目的とターゲット顧客を明確にすることが不可欠です。
例えば、宿泊費の節約志向が強いファミリー層や、リゾート利用を重視する旅行者、ビジネス用途のリピーターなど、施設の特徴に合わせて一定の条件でグループ化してみましょう。
目的が新規顧客獲得なのか、リピーター囲い込みなのかによって、設計すべき特典やプログラムも異なります。
会員権やポイントプログラムの規模・内容もターゲット像に沿って調整することが大切です。
具体的なペルソナ設定と目的の明文化が、成功する会員制度設計の第一歩となります。
ステップ2:会員特典の設計
会員特典設計の際は、ステップ1で明確にした、会員制度を導入する目的に対してより効果があり、ターゲットに刺さるような工夫が必要です。
例えば、宿泊費の割引、ポイント還元、会員限定プランやアーリーチェックインなど、多彩なサービスを用意しましょう。
季節ごとに特典内容を変えたり、ランクアップ制度により利用頻度や金額に応じて特典内容を拡充する方法も有効です。
また、バースデー・記念日特典や公式サイト予約時のポイント付与など、競合にはない独自サービスを盛り込むことで差別化が図れます。
メルマガやアプリなどを活用した情報発信も、会員満足度を高める重要な要素です。
ステップ3:入会プロセスの簡素化と告知
会員制度への入会プロセスは、できる限り簡単かつ迅速に行えるような工夫が必要です。
オンラインでのワンステップ登録や、公式サイト予約時の自動会員登録など、顧客の負担を減らしましょう。
告知方法も重要で、館内ポスターやメルマガ、公式SNSなど多様なチャネルを組み合わせることで、広範囲にアピールできます。
入会特典としてポイントや割引クーポンを付与することで初期登録率を高めることも効果的です。
入会時に安心感を持ってもらうためには、会員規約や個人情報の取り扱いについて明確な説明を行うことが大切です。
ステップ4:顧客データの活用とコミュニケーション
会員制度の最大のメリットは顧客情報を蓄積し、活用できる点です。
例えば、予約履歴や趣味嗜好データを分析して会員限定の特典やサービスをパーソナライズ化することで、満足度と再来店率が向上します。
メルマガやSMS配信を活用し、季節限定プランや施設の新サービス情報を定期的に届けましょう。
会員の声を反映した新しいサービスや改善も効果的です。
このような顧客とのコミュニケーションを重視することで、会員制度自体への愛着とブランドロイヤルティの強化につながり、口コミや紹介を生み出します。
データ活用は持続的な顧客囲い込みの鍵です。
具体的なロイヤリティプログラムの一例
ロイヤリティプログラムにはポイント制度や会員ランク、限定プランなど多様な仕組みがあります。
具体的なロイヤリティプログラムの特典や仕組みを、いくつかの例を挙げてご紹介します。
これらをヒントに、あなたの宿のコンセプトに合った最適なプログラムを検討してみてください。
ポイントプログラム
ポイントプログラムは、宿泊ごとに付与されるポイントを貯めて、割引や特典と交換できる仕組みです。
例えば、公式サイト予約でポイント還元率を高めたり、リゾート施設の利用で追加ポイントを付与するなど、宿泊客に満足感を与えながらリピーター化を促進できます。
後述の会員権によるランクアップ制度と組み合わせることで、上位会員になるほどポイント獲得や利用範囲が拡大するような設計も可能です。
ポイント有効期限や交換条件なども明確に設定し、透明性を高めることで利用促進につながります。
ポイントプログラムは集客力と顧客ロイヤルティの強化に非常に役立ちます。
会員ランク制度
会員ランク制度は、利用回数や利用金額、獲得ポイントによって会員ランクがアップする仕組みです。
例えば、シルバー、ゴールド、プラチナなど階層を設け、ランクに応じて宿泊費の割引率や特典内容をグレードアップさせます。
ランクアップによる専用予約枠やアップグレード可能な客室、限定プランの利用なども人気です。
施設によっては、公式サイト予約やメルマガ購読でランクアップ条件を満たすことも可能にしている場合もあります。
会員ランクが明確な目標として示されることで、顧客の利用意欲とリピート率を高めることができます。
会員限定プラン・先行予約
会員限定プランや先行予約制度は、会員だけが利用できる限定サービスです。
繁忙期にも先行予約枠を設けることで、会員が希望する日程で宿泊しやすくなります。
割引価格や特別な特典を付加したプランは、非会員との差別化に有効です。
季節イベントやリゾート施設限定プランなど、会員権を活かした魅力的なラインナップを用意しましょう。
公式サイト予約限定の早期割引、ポイント還元率のアップなども良い例です。
こうした優遇策はリピーター育成や会員数増加に大きく寄与します。
バースデー・記念日特典
バースデーや記念日特典は、会員に特別な体験を提供し、顧客満足度を向上させる有効な方法です。
例えば、誕生日当日にホテルからメッセージカードやプレゼント、宿泊費割引、ポイント付与などがあれば、思い出づくりと同時にブランドロイヤルティを高めることができます。
記念日には限定のディナーコースやリゾート体験なども用意し、パーソナライズされたサービスを実現しましょう。
こうした特典はSNSや口コミを通じて自然に広がり、新規顧客の獲得にも効果的です。
アップグレード・優先サービス
会員向けのルームアップグレードや優先サービスは、極めて人気が高い特典です。
空室状況に応じて部屋の格上げを行ったり、優先チェックインやラウンジアクセスを提供することで、宿泊体験を向上させます。
会員ランク制度と組み合わせれば、プラチナ会員や上級会員ほどアップグレード率や優先サービス内容が充実する仕組みもつくれます。
公式サイト予約限定の優遇や、ポイント消化で特別サービスを受けられる制度も効果的です。
こうした特典は競合との差別化を強化し、ブランド価値と顧客ロイヤルティの両立を実現します。
会員制度を成功させるためのポイント

魅力的な特典を導入しても、会員制度が自動的に成功するわけではありません。
たとえ会員制度を導入しても、うまく運用できず、やがて形だけのものになってしまうケースが少なくありません。
宿泊客を真の「ファン」へと育て、継続的に利益を生み出すロイヤリティプログラムにするためには、設計思想から運用、改善に至るまで、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
会員制度を単なる割引サービスで終わらせず、強力な顧客囲い込みツールとして機能させるための、ポイントを解説します。
会員限定の予約をスムーズに
会員限定の予約をスムーズに行える仕組みづくりは、顧客満足度向上に不可欠です。
公式サイト予約で会員ID入力のみで特典が適用されるようにしたり、専用予約フォームやアプリで簡単に予約手続きができる設計が好評です。
先行予約枠の案内や予約状況の優先表示なども、会員権の価値を高めます。
繁忙期でも会員専用の予約枠を設けることで、リピーターの囲い込みがしやすくなります。
電話予約や店舗受付時も会員証提示ですぐに優遇が受けられるようオペレーションを統一すると、運用面でも負担が減り、トラブル防止にもつながります。
情報発信を定期的に行う
定期的な情報発信は、会員制度成功に不可欠な要素です。
例えば、メルマガや公式SNS、アプリ等で新着情報や限定特典、季節イベントをこまめに配信しましょう。
会員向けのキャンペーンやポイントプログラムのアップデートを案内することで、利用意欲やブランドロイヤルティの向上が期待できます。
特に特典内容やランクアップ条件など、会員目線で“得する”情報を届けることで、継続的な利用促進につながります。
積極的な情報発信は新規会員獲得にも効果的です。
会員規約と特典内容の最適化を図る
会員規約や特典内容は、施設の運用状況や顧客ニーズに応じて継続的に見直すことが大切です。
例えば繁忙期と閑散期で特典内容を変更したり、規約を時代に合わせて更新することで、会員制度の魅力を常に維持できます。
利用しやすい宿泊費割引やポイント還元の条件、ランクアップ要件などの透明化は利用者の安心感につながります。
顧客の声を定期的に集めて、メリットとデメリットを明確に伝えることも信頼性向上に役立ちます。
ただし、規約の変更時はメルマガ等で必ず案内しましょう。
運用体制を確立する
会員制度を長期的に安定して運用するためには、専任スタッフの配置やシステム化が効果的です。
会員情報の管理はクラウド型顧客管理システムを活用することで、データ漏洩リスクの低減や業務効率化が図れます。
予約オペレーションや特典提供のマニュアル作成、サポート体制の充実も欠かせません。
運用体制の明確化は会員制度への信頼性向上につながり、クレームの減少や顧客単価アップにも寄与します。
施設規模やリソースに応じた最適な運用体制を整えましょう。
個人情報の取り扱いには、十分に注意する
会員制度では顧客の個人情報を多数管理するため、セキュリティ対策と個人情報保護が特に重要です。
個人情報の利用目的を明示し、規約や同意フォームをしっかり整備しましょう。
スタッフ教育やシステム上のアクセス制御も徹底し、不正利用を防ぐ必要があります。
もし情報漏洩が発生した場合の対応フローや、外部委託会社との契約内容も事前に見直しましょう。
最新の法令に則り、定期的に点検・改善を行うことで、会員制度への信頼性と顧客満足度が向上します。
効果測定と継続的に改善を行う
会員制度の成果を正確に把握するためには、効果測定の仕組みを導入し、継続的な改善を実施する必要があります。
例えば、会員ごとの予約回数・宿泊費・ポイント利用率や口コミ数など、様々な指標を定期的に分析しましょう。
また、アンケートや会員からのフィードバックも貴重な判断材料です。
得られたデータをもとに、特典や告知方法の改善、新しいランクアップ制度の導入などを検討しましょう。
このプロセスを続けることで、常に時代や顧客ニーズに合った会員制度を提供でき、顧客囲い込みと収益向上につながります。
まとめ
この記事ではホテル会員制度の導入から運用までの実践ポイントや特典設計、メリット・デメリットについて詳しく解説しました。
宿泊費の節約、リピーター獲得、口コミによる集客力強化など、会員制度は宿泊施設のブランドロイヤルティを高める有効な施策です。
これから会員制度導入を検討する方も、ポイントプログラムや公式サイト予約を活かして、選ばれ続ける宿づくりに前向きに取り組んでいきましょう。




