ホテルの多言語対応はどう行う?事例や方法、注意点を紹介

公開日 (更新日 2025.06.24)

マーケティング・集客を学びたい方

訪日外国人の多くは日本滞在中にコミュニケーションに問題を感じています。インバウンド対応に注力したいホテルにとって、多言語対応は欠かせない課題のひとつです。

本記事では、ホテルが実施できる多言語対応の方法や、実際に多言語対応を進める際に注意すべきポイントを解説します。

目次

外国人利用客が困っている点とは?

ホテルの多言語対応を進める前に、まずは外国人利用客が日本滞在中に何を不便に感じるかを知っておきましょう。

観光庁が平成30年度、訪日外国人4,037人を対象に実施した調査、訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケートによると、外国人利用客が困っている主な内容は次の3つです。

  • コミュニケーションが取れない
  • 多言語表示が少ない・分かりにくい
  • クレジットカードやWi-Fi・交通機関の利用

それぞれについて以下で解説します。

参考:観光庁『訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート

対応するスタッフとのコミュニケーションが取れない

同調査の回答で最も多かったのは、「対応するスタッフとコミュニケーションが取れない」で、全体の20.6%を占めました。

訪日回数が増えるにつれて、コミュニケーションが取れるようになる傾向も見受けられます。しかし、5回以上の訪日経験を持つ外国人であってもなお、17%は不便に感じているという結果も出ています。

ホテルが多言語対応を推進してコミュニケーションを円滑化することが、外国人利用客を増やすポイントといえるでしょう。

多言語表示が少ない・分かりにくい

「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」に不満を覚えている外国人利用客も多く、割合は全体の16.4%を占めました。

こちらも訪日回数に比例して不満に思う人も減る傾向にはありますが、5回以上の訪日経験を持つ人でも11%が不満に感じています。そして、多言語対応していれば良いというものではなく、内容の分かりやすさにまで配慮が必要です。

また、多言語対応しているWebサイトやSNSについて、更新頻度が日本語版サイトほどではないところも少なくありません。同じく観光庁が設置している「観光DX推進のあり方に関する検討会」によると、「Webサイトの情報が最新のものに更新されていないことで外国人利用者の満足度低下に影響している」という指摘もあります。

クレジットカードやWi-Fi・交通機関の利用にも課題

他には、「Wi-Fi環境が整備されていない」「交通機関の利用が難しい」を不便な点と回答している外国人利用客も20%弱いました。

「クレジットカードが利用しにくい点が不便」と感じた人も、10%ほど存在しました。同検討会によると、日本人が利用する主要ブランドへの対応に留まって、海外でよく利用されているブランドへの対応が追いついていない場合があり、決済に手間取るケースも多いようです。

こうしたことから、外国人利用客のスムーズな宿泊には、さまざまな点での多言語化・グローバル対応が必要だと示唆されます。

ホテルの多言語対応の手段・方法

ここでは、ホテルの主な多言語対応の方法5つを紹介し、それぞれについて解説します。

Webサイトを多言語化する

外国人利用客の大半はWebから宿泊予約を行うため、Webサイトの多言語化は非常に効果的です。特に、第一言語とする訪日外国人が多い英語・中国語[簡体字・繁体字]・韓国語に注力しましょう。他の客層に合わせた言語も表示できれば、なお理想的です。

また、Webサイトの多言語対応をするだけで終わらず、内容もインバウンド向けにしましょう。そして、日本語サイトの更新時には多言語サイトも更新してください。

日本人利用客と外国人利用客は、求める情報も異なります。たとえばアクセス情報の場合、日本人利用客であれば最寄駅からの案内で足りますが、外国人利用客にニーズが高い情報は国際空港からのアクセスです。

他には、料理、部屋などの写真・情報で訴求するのも集客効果を望めます。

よくある質問にFAQを制作して対応する

よくある質問にFAQを作っておくことで、外国人利用客とのやりとりを円滑化できます。スタッフが少なくて外国人利用客に対応する時間をあまり割けないホテルの場合、特に有効な方法です。

外国人利用客から質問される内容のほとんどは以下のようなもので、おおよそパターン化しています。

  • チェックイン・チェックアウトの時間
  • 館内設備の場所
  • 大浴場の使い方

こういった質問への回答をあらかじめ多言語で用意しておけば、質問される度に説明する手間を省けるでしょう。外国人利用客との認識の食い違いも、防ぎやすくなります。

館内表示にアイコンやピクトグラムを使用する

多言語表示だけでなく、アイコンやピクトグラムなど絵で表示して伝える方法も有効です。見やすい場所に決済方法やトイレなど館内施設の場所、免税店の表示などを配置しておくだけでも効果を期待できます。

レストランでの食材表示に、ピクトグラムを使っているホテルもあります。宗教の戒律やベジタリアンなどの理由により、食べられる食材に制限がある外国人利用客も多いです。

多言語に対応している決済システムを導入する

外国人利用客がスムーズに使える、決済システムの導入も必要です。

上述のように、クレジットカード決済時に不便さを感じる外国人利用客も少なくありません。

海外ではキャッシュレス決済が浸透しているため、クレジットカード払いへの対応は必須です。多言語対応している、または主要な国際カードブランド複数に対応している決済システムを導入すれば、スムーズに支払いの手続きもできるでしょう。

ただし、決済システムの導入・利用には一定のコスト・手数料がかかります。ホテルの経営状況や規模に応じて、検討しましょう。

旅行者向けのデバイスを導入する

客室や館内に、外国人利用者向けのコンシェルジュや専用デバイスを置く方法も良いでしょう。周辺地図や観光情報などを、多言語で見られる専用タブレットを導入しているホテルもあります。

ただし、こちらも導入・運用に一定のコストがかかるため、慎重に検討した方が良いでしょう。

多言語対応をしたホテルの事例

ここでは、多言語対応をしているホテルの事例3つを紹介し、それぞれについて解説します。

八坂ゆとね・室町ゆとね|Webとスタッフの多言語対応が好評で受賞歴も

湯元舘グループの「八坂ゆとね」「室町ゆとね」(いずれも京都府)は、8カ国語に対応したWebサイトを作っています。AIコンシェルジュを利用したチャットボットや、英語表記にした各部屋の間取り図を用意しているのもポイントです。

また、接客にあたるスタッフも、多言語対応ができる人材を採用しています。どちらも外国人利用者からの高評価を得ており、特に、スタッフの対応の良さを賞賛する声が多く見られます。

室町ゆとねは、2023年に宿泊予約サイトbooking.comの「Traveller Review Awards」を受賞しました。これは、利用者の口コミスコアが高い施設に贈られる賞です。

ホテルマイステイズ|コンシェルジュにPepperを導入しリモートで多言語対応

ホテルマイステイズは、2017年からコンシェルジュとしてPepperを導入しました。以前は専門オペレーターによるチャット・メール・電話などで、英語・中国語・韓国語に対応していました。この実績から得たノウハウを活用し、Pepperを介してオペレーターが外国人利用客のサポートをチャットで行う仕組みを作ったのです。

これは当時、国内のホテルとして初の取り組みでした。対応言語数こそ多くないものの、多言語対応できるスタッフが常駐していなくても外国人利用者をサポートできる仕組みが整っています。

阪急阪神ホテルズ|食材ピクトグラムを設置し外国人利用者も安心して食事ができるように

阪急阪神ホテルズでは、直営ホテルの全バイキングレストラン・朝食提供レストランに食材ピクトグラムを設置しています。

イラストと4カ国語表記を用いて、アレルギー特定原材料7品目と、宗教によっては禁忌とされる牛肉・豚肉・アルコールを合わせた計10品目を掲示しています。国際空港などでも使用されているピクトグラムのため、視認性が高いのも特徴です。

他にも同ホテルでは、タブレットなどを使った複数言語の映像通訳サービスも導入しています。

ホテルを多言語対応する際のポイント

以上を踏まえて、ホテルの多言語対応を進めるときの主な注意点について解説します。

Webサイト・予約システム・FAQをまとめて導入する

ホテルの多言語対応をすべて自力で行うのは、手間がかかります。ある程度は、外部に頼って進める方が効率的です。チャットボットや翻訳アプリなどを活用すれば自力でできるように考えられがちですが、実際はさまざまなトラブルが発生しかねません。

特に、Webサイトの翻訳漏れは起きやすいものです。情報は多言語対応できているのに、入力フォームだけ日本語のままといったこともよくあります。こうしたことがあると、ホテルへの信頼度低下や、利用客・見込み利用客の離脱につながりかねません。

対策として、ホテルの多言語対応に特化したWebサイト制作サービスの利用がおすすめです。予約システムも自動で付いてくる他、FAQやチャットボットも設置できる場合があります。

予約のフローも外国人利用客向けにする

Webサイト表記を多言語化するだけではなく、予約システム自体も外国人利用客向けにすることが望ましいです。外国人利用客が使いにくい予約システムでは、予約完了前に離脱されるおそれがあります。

たとえば、「宿泊プラン」という概念は外国人には馴染みがありません。日本人向けの予約システムを翻訳しただけでは「よくわからない」と感じさせてしまい、予約完了に至らない可能性があります。

日本語表記を外国語表記に直すだけではなく予約システムの構成まで着目することが、外国人利用客を獲得するためのコツです。

ホテルの多言語対応には「予約番」がおすすめ

ホテルの多言語対応には、株式会社キャディッシュが手掛ける『インターネット宿泊予約システム 予約番』を使うと便利です。ここでは、予約番の主な4つの特徴について解説します。

外国人利用客に特化したデザインが可能

予約番では、外国人利用客に特化したデザインを作れます。外国人旅行者には、宿泊プランという概念が分かりにくいため、インバウンド専用画面を設け、客室タイプから選択する画面レイアウトを用意しています。

外国人利用客が重視する情報も把握した上で、デザインに落とし込んでいるのも強みです。ピクトグラムも効果的に採用しており、外国人利用客に訴求したい内容も一目で分かりやすく掲載できます。

予約も3ステップで完了するため、外国人利用客が快適に利用でき、離脱防止も期待できます。

最大8言語に対応し、インバウンド客の87%を網羅

予約番は、以下の8言語に対応可能です。

  • 英語
  • 中国語(繁体・簡体)
  • 韓国語
  • タイ語
  • マレーシア語
  • ドイツ語
  • フランス語

2019年の訪日客数は約3,000万人でしたが、うち2,700万人以上は、この8言語を第一言語としています。これら8言語に対応できれば、今後も外国人利用客の獲得が見込まれるでしょう。

宿泊プランや客室の説明などについても、オプションで翻訳が可能です。

外国人利用客にも馴染みのある決済システムを用意

予約番は外国人利用客向けのオンライン決済システムを用意しています。

クレジット事前決済のシステムは、以下の3つが利用可能です。

  • ホテペイ
  • JTB Book & Pay
  • PayPal

PayPalは海外でも広く利用されている決済システムです。他2つの決済システムと、併用することもできます。

日本語版サイトと共通の予約システムで管理も簡単

予約番なら、日本語版サイトと多言語対応版サイトで共通の予約システムが使えます。ダブルブッキングの心配がなく、トラブルも回避しやすくなるでしょう。空室数はもちろん、宿泊オプションの在庫数なども、同時に管理が可能です。

FAXオプションを利用すれば、予約やキャンセルの状況を紙でも視認できます。パソコンスキルのないスタッフがいても、ミスが防ぎやすいでしょう。

まとめ ホテルの多言語対応には「予約番」が便利

ホテルの多言語対応を効率よく進めるためには、細切れに行うのではなく、一度に進めることが重要といえます。そのためには、グローバル対応の予約システムや、多言語に対応しているWebサイト制作サービスなどの利用がおすすめです。
また株式会社キャディッシュでは、『インターネット宿泊予約システム 予約番』に加え、多言語に対応した『Webサイト制作サービス』も実施。業界に精通したクリエイターが、多言語に特化したWebページの制作などをサポートしています。ぜひ、サービスの利用をご検討ください。