ホテルマネジメントとは?必要な能力やトレーニング方法、取得したい資格を解説

公開日 (更新日 2024.01.09)

経営ノウハウを学びたい方

ホテル・旅館など宿泊施設を経営するにあたって必要なスキルの1つに、「ホテルマネジメント」の能力があります。ホテルマネジメントとは、幅広い業務や施設の設備を管理することによって運営を安定させるためのスキルであり、ホテルや旅館の経営層には欠かせない能力です。

本記事では、ホテルマネジメントの詳細や身に付けるためのトレーニング方法、取得すべき資格などについて解説します。

ホテルマネジメントとは?

ホテルマネジメントとはホテルなど宿泊施設を管理する力であり、その仕事内容は多岐にわたります。しかし、特別な資格は必要ありません。

まずは、ホテルマネジメントの概要について解説します。

ホテルや宿泊施設を管理する力

ホテルマネジメントとは、ホテル・旅館といった宿泊施設の経営を安定させるために必要とされるスキルです。管理・運営面で活用し、宿泊施設の運営に取り組みます。

ホテルマネジメントの仕事内容は次で述べる様に多岐にわたるため、宿泊施設の経営者や担当者には幅広い能力が必要です。

仕事内容は多岐にわたる

ホテルマネジメントで行う主な仕事内容は、次の通りです。

  • 宿泊施設の設備・人材などの管理
  • 人材教育・育成
  • 広告宣伝やイベント・キャンペーンの企画・実施といったマーケティング活動
  • 資金の管理や資金調達計画の作成
  • 各部門の業務管理

宿泊施設の業務には、宿泊やデイユースなどの客室関連、結婚式やパーティーなどの宴会関連、レストランなどの飲食・調理関連、温泉や遊技場などのレジャー関連と、さまざまなものがあります。あらゆる業務を管理する能力を身に付けることは、宿泊施設の経営において必須なのです。

特別な資格は必要ない

ホテルマネジメントを行うにあたって、何らかの資格を取得しなければいけないというわけではありません。

ただし、後で触れる「ホテル・マネジメント技能検定」など、ホテルマネジメントに関連する資格は多数存在します。それらを取得するために学習したり、学んだことを実践したりすることによって、ホテルマネジメント能力を高めていけるでしょう。

ホテルマネジメントに必要な能力とは?

上で挙げた「ホテル・マネジメント技能検定」は、ホテルマネジメントの能力を測る国家検定です。ホテル・マネジメント技能検定では、次の5つを必要な能力として定義しています。

  • 収益管理力
  • 企画力
  • 課題解決力
  • 管理運営力
  • 専門知識

ここでは、それぞれの能力について解説します。

収益管理力

収益管理力とは、宿泊施設の売上や経費を管理し、ビジネスとして確立させるための力です。

宿泊施設の経営には設備の維持や修繕、人件費、広告宣伝費など、さまざまな費用が掛かります。そのため、それらを把握した上で予算を組み、資金を調達し、利益を確保しつつビジネスを成長させていかなくてはなりません。収益管理力は、ホテル経営の要となる能力なのです。

企画力

企画力とは、宿泊施設の利用者数アップなどを目的として、魅力的なプランを企画する力です。宿泊施設の経営にあたっては、自社のホテルの立地・所在地や特徴・強みなどを踏まえた上で、実現度の高いプランを考える必要があります。

尚、企画力には集客や認知度向上を狙ったキャンペーンやセール、イベントなどを考える力も含まれます。

課題解決力

課題解決力とは、宿泊施設を経営する中で生じる問題点や課題を発見し、解決していく力です。具体的には、日常的に起きる小さな問題点をひとつひとつ洗い出して解決したり、業務や事業を見直して経営を改善・推進していくための課題を設定し、解決したりできることを言います。

課題解決力を上げるためには、部門ごとのオペレーションを把握しておくことも重要です。

管理運営力

管理運営力とは、宿泊施設の経営におけるKPI(重要業績評価指標)を設定し、それを達成するまでの工程を運営・管理する能力を言います。

宿泊施設の運営におけるKPIとなりうるのは、CS(カスタマーサクセス)やES(従業員満足度)などです。管理運営力として求められるスキルは幅広く、例えば、予約管理スキルや人材育成スキル、トラブル対応スキルなどがあります。

専門知識

ホテルマネジメントを行うにあたって、ホテル・民宿業界や飲食業界、レジャー施設業界など、幅広いジャンルの専門知識を備えていることも必須条件です。

「企画力」の部分でも解説した様に、宿泊施設経営を成功に導くためには、利用者にとって魅力的なプランを企画して集客数を上げることが重要です。以下を始めとした、宿泊施設の経営に関連する分野の知識を蓄えておくと良いでしょう。

  • 料理やインテリアの知識
  • 老若男女および外国人観光客への対応方法
  • 災害発生時の対応

なぜホテルマネジメントの能力が求められるのか?

ホテルマネジメントの能力が求められるのは、宿泊施設経営のさまざまな点に活用できるためです。

宿泊施設の経営を安定させるためには、客室稼働率の向上が欠かせません。しかし、やみくもに宿泊料金を下げるだけでは採算が取れないため、長期的な経営が難しくなります。そうした事態を防ぐためにも、経営にはコストと利益のバランスを意識した、多角的な視点が求められます。

加えて、ホテルマネジメントは人材の育成や生産性向上にも役立ちます。宿泊施設の経営においては、組織を円滑に運営する必要があるためです。

宿泊業界は他の業界と比較して損益分岐点が高く、人件費も高い傾向にあるため、人材一人一人の生産性向上が欠かせません。PMS(ホテル管理システム)やセルフチェックインシステムなどを導入して、スタッフの業務量を削減する施策も検討が必要です。

この他、売上アップや設備投資の判断などにおいても、マネジメント能力が求められます。

客室稼働率ついては以下の記事で詳しく解説しているので、合わせて参考にして下さい。
>> 客室稼働率(OCC)とは?ADR・RevPARとの違いや目安も解説

ホテルマネジメントの能力を高める方法

上記の様なホテルマネジメントの能力を高める主な方法は、次の6つです。

  • ホテルマネジメントに関する本を読む
  • 研修やセミナーに参加する
  • 大学や専門学校に通う
  • 現場で実際に業務にあたって経験を積む
  • 「ホテル・マネジメント技能検定」などを受ける
  • ホテル経営者向けのコンサルティングサービスを利用する

それぞれの方法について、以下で解説します。

ホテルマネジメントに関する本を読む

ホテルマネジメント関連の書籍を業務の合間に読めば、隙間時間を使ってホテルマネジメントの能力を高めるトレーニングが可能です。

ホテルマネジメントやマネジメント一般をテーマにした書籍は、多数発売されています。例としては、「一般社団法人日本ホテル教育センター」からホテルマネジメントやホテル業務全般に関する参考書籍・テキストが出版されています。

研修やセミナーに参加する

上で参考書籍出版元として紹介した一般社団法人日本ホテル教育センターやその他のビジネス研修組織、宿泊・飲食業界誌などが、宿泊施設経営に求められるマネジメント能力をブラッシュアップする研修やセミナーを開催しています。

セミナーであれば1日、研修であれば数日間程度で修了可能です。短期間で集中的且つ効率的に、ホテルマネジメント能力の向上に取り組めるでしょう。

大学や専門学校に通う

宿泊施設経営に必要な知識が身に付く大学・大学院や専門学校に通って、知識を習得することも1つの方法です。

大学・大学院であれば、経営学部や経済学部などに設置されている観光・宿泊関連コースを選ぶと良いでしょう。専門学校ならホテル経営に特化した学校やコースも存在するため、総合的に学べます。また、海外の大学などと提携して学べる「ホテルマネジメント留学」ができるところもあります。

ただし、2〜4年間の通学が必要な場合が多いため、業務の傍らで学ぶのは難しい場合もあるでしょう。

現場で実際に業務にあたって経験を積む

ホテルマネジメントの能力を高めるためには、実際に宿泊施設各部門の現場に立ち、オペレーションやマネジメントの経験を積むのも良いでしょう。

ホテルマネジメントにおいて求められる能力は、上で述べた様に多岐にわたり、一朝一夕で身に付けられるものではありません。宿泊施設運営に関するさまざまな業務を体験し、それぞれの現場や状況において意思決定する機会を増やしていくことで、おのずとマネジメント能力を養えるでしょう。

もちろん、現場での経験だけではカバーしづらい点も多く存在します。他の学習方法にも、並行して取り組むことをおすすめします。

「ホテル・マネジメント技能検定」などを受ける

ホテルマネジメントに関連する資格を取得することも、ホテルマネジメントの能力向上に有効な方法です。

例えば、上でも触れた「ホテル・マネジメント技能検定」は国家検定で、試験に合格すると「ホテルマネジメント技能士」の資格が取得できます。これにより、ホテルマネジメントの能力がある人材として認定されるのです。資格取得のための学習を通じても、ホテルマネジメントの能力を高めていけるでしょう。

他には、ホテルマネジメントを学べる講座を受講する方法もあります。ビジネススクール「宿屋大学」は「ホテルマネジメント入門講座」や「プロフェッショナルホテルマネージャー養成講座」を開講しています。ホテルや旅館で必要となるマネジメントの知識やスキルを習得するのに役立つはずです。

ホテル経営者向けのコンサルティングサービスを利用する

自分のマネジメント能力を上げることも大切ですが、外部の力を借りる方法もあります。中でもおすすめの方法は、ホテル・旅館の経営者を対象とするコンサルティングサービスを利用することです。

宿泊施設のマネジメントに特化したサービスであれば、一般的なコンサルティングサービスよりも実情に即したコンサルティングを受けられます。自分のマネジメント能力を磨くことと並行してプロのサービスも取り入れることで、宿泊施設運営はさらに効率化できるでしょう。

尚、旅館やリゾートホテルはホテルとは部屋数や建物の作りなども異なるため、求められるマネジメント能力も変わってきます。旅館やリゾートホテルの経営に求められるマネジメント能力については、別の記事で解説します。

ホテルや旅館の経営にマネジメント力は不可欠

ホテル・旅館経営では、各業務を管理・運営しつつ売上アップを図れるマネジメント力が不可欠です。宿泊施設マネジメントに求められる主な5つの能力は、トレーニングによる向上も可能です。

また、外部コンサルティングサービスを活用すれば、さらに業務を効率化できます。中でも、宿泊施設経営に特化したサービスがおすすめです。

例えば、「宿力」は日本全国のホテル・旅館200施設以上の集客支援をした実績を持つ、Webコンサルティング会社です。宿泊施設マネジメントの戦略立案からWebサイト作成といったWeb関連の作業代行までを、一括で任せられます。

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