【2024年最新】ホテル・旅館(宿泊業)で活用できる補助金・助成金を紹介

公開日 (更新日 2024.08.01)

開業準備に役立つ情報を知りたい方

ホテル・旅館の経営において、課題の解決や施設の価値を向上させるための施策を実施するために、国や自治体が提供している補助金・助成金の活用を検討している方もいるのではないでしょうか。この記事では、宿泊業で活用できる補助金・助成金を目的別・都道府県別(一部抜粋)などで紹介します。ホテル・旅館の経営層の方はぜひ、本記事の内容を参考にして下さい。

目的別:ホテル・旅館向けの補助金一覧

まずは全国で活用できる補助金を目的別に紹介します。

DX化・業務効率化・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
・ものづくり・商業・サービス補助金(デジタル枠)
改装・リニューアルなどの価値向上・ものづくり・商業・サービス補助金(通常枠)
・事業再構築補助金
人材不足・育成・人材開発支援助成金
・人材確保等支援助成金
コロナ対策・雇用調整助成金
・大規模感染リスクを低減するための高機能換気設備等の導入支援事業
・宿泊事業者による感染防止対策等への支援

各補助金には複数の枠・類型が設けられており、補助金上限額や補助率は枠・類型・従業員数などによって異なります。以下から各補助金についてそれぞれ解説します。

DX化・業務効率化

補助金名概要補助金額補助率
IT導入補助金 
〆切:2024年8月23日
ITツール導入を支援枠・類型により5万~450万円(※下限なしのものもあり)枠・類型により
1/2~3/4
【終了】
小規模事業者持続化補助金
〆切:2024年5月27日 
経営計画に基づき販路開拓や生産性向上を図る取り組みを支援枠・類型により上限50万~200万円2/3
(赤字事業者の賃金引上げ枠は3/4)
【終了】
ものづくり・商業・サービス補助金(デジタル枠)
〆切:2024年3月27日 
DXのための革新的製品・サービス開発や生産性向上に必要な設備・システム投資を支援従業員数により100万~1,250万円2/3

上記のうち、宿泊予約システムや業務支援システムなどのITツールを導入する際に活用できるのは『IT導入補助金』です。

『IT導入補助金』には、通常枠・セキュリティ対策推進枠・デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型があります。補助金額は、通常枠A類型が5万〜150万円未満、通常枠B類型が150万〜450万円以下、セキュリティ対策推進枠が5万〜100万円、デジタル化基礎導入類型が下限なし〜350万円、複数社連携IT導入類型は、基盤導入経費が下限なし〜350万円(その他の経費については別ルールで計算)です。

改装・リニューアルなどの価値向上

補助金名概要補助金額補助率
【終了】
ものづくり・商業・サービス補助金(通常枠)
〆切:2024年3月27日
革新的な製品・サービス開発や生産工程・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資を支援100万~1,250万円1/2(小規模・再生事業者は2/3)
事業再構築補助金
〆切:2024年7月26日
新市場進出や事業・業種転換、事業再編、規模の拡大など事業再構築を支援枠・従業員数により100万~1.5億円枠・従業員数により中小企業者1/2~3/4中堅企業1/2~2/3
【終了】
宿泊施設インバウンド対応支援事業
〆切:2024年6月 21日
宿泊施設におけるインバウンド対応及びバリアフリー化を実施するために要する経費の一部を助成補助上限額:104,000 千円補助率:定額

『ものづくり・商業・サービス補助金(通常枠)』は宿泊施設の改装・リニューアルやサービス提供方法の改善に必要な設備・システム導入に活用できます。

『事業再構築補助金』には8つの枠が設けられており、補助金額や補助率は枠・従業員数により異なります。補助対象となる経費は、建物費や機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費や専門家経費、クラウドサービス利用費などです。

『宿泊施設インバウンド対応支援事業』は宿泊施設におけるインバウンド対応及びバリアフリー化を実施するために要する経費の一部を助成する事業を行う事業です。案内表示や自社サイトの多言語化、非接触型チェックインシステム、キーレスシステムの導入、混雑状況の「見える化」システムの導入等に活用できます。

人材不足・育成

補助金名概要補助金額補助率(経費助成)
人材開発支援助成金(人への投資促進コース)デジタル人材育成訓練の訓練経費・訓練期間中の賃金の一部を支援訓練時間により15万~50万円(中小企業以外は10万~30万円)訓練内容により45~75%※条件により+15%
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)外国人の就労環境整備や外国人労働者の職場定着への取り組みを支援57 万円※条件により72万円1/2※条件により約2/3
キャリアアップ助成金非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを助成各コースによる各コースによる
観光地・観光産業における
人材不足対策事業

〆切:2024年7月31日
宿泊業が抱えている人手不足を解消するための設備投資やサービスの導入に関わる経費の一部を支援1 事業者あたり 3 施設が上限
補助上限額:1 施設あたり 500 万円
補助率:1/2

※賃金要件または資格・手当要件を満たす場合

人材開発支援助成金』には全部で7つのコースがあり、その中で宿泊業と関連するものは『人材育成支援コース』『教育訓練休暇等付与コース』『人への投資促進コース』『事業展開等リスキリング支援コース』の4つです。『人への投資促進コース』ではデジタル・高度人材を育成するための訓練の他、従業員が自発的に行う訓練や定額制訓練も助成対象になります。

『人材確保等支援助成金』には全部で9つのコースがあり、その中で『外国人労働者就労環境整備助成コース』は、外国人従業員の職場環境を整備したい場合に活用できます。

コロナ対策

補助金名概要補助金額補助率
【終了】
雇用調整助成金(コロナ特例)
〆切:2023年3月31日
コロナの影響により、やむなく事業活動を縮小した事業主が、雇用調整を行う場合の休業手当の一部を助成1人当たり8,355~15,000円※11/2~10/10※2
【終了】
大規模感染リスクを低減するための高機能換気設備等の導入支援事業※3
不特定多数の人が利用する施設が密閉空間とならない様にする高機能換気設備の導入を支援上限2,000万円2/3
【終了】
宿泊事業者による感染防止対策等への支援※4
宿泊事業者の感染拡大防止施策強化を支援各都道府県で施設の規模に応じて段階的に設定(大規模施設の場合は500万円)1/2

※1 判定基礎期間初日の時期や業況により異なります
※2 判定基礎期間初日の時期や業況、企業規模により異なります
※3 2024年現在、三次公募が終了しており、次の公募については公表されていません
※4 2024年現在は募集していませんが、今後、再開される可能性があります

『雇用調整助成金(コロナ特例)』の対象は判定基礎期間の初日が2020年4月1日~2022年11月30日及び2022年12月1日~2023年3月31日に該当するものです。2023年4月1日以降は通常の『雇用調整助成金』を申請できます。

都道府県別:ホテル・旅館向けの補助金(一部抜粋)

次に、各都道府県で活用できる補助金から一部を紹介します。

北海道(札幌)札幌市宿泊施設非常用自家発電設備整備補助事業
※申込みが予算額に到達した場合は受け付けを締め切り
東京都【終了】宿泊施設活用促進補助金
〆切:2024年3月31日
愛知県【終了】愛知県宿泊事業者高付加価値化促進事業費補助金
〆切:2023 年1 月 27 日
長野県(茅野市)茅野市観光宿泊施設改装事業補助金
大阪府【終了】大阪府宿泊施設等の感染症対策推進事業
〆切:2023年1月27日
京都府【停止中】京都府宿泊施設立地等促進事業費補助金事業
※2024度の新規受付は停止中
福岡県【終了】福岡市宿泊事業者受入環境充実支援補助金
〆切:2023 年 1月 27 日
沖縄県【終了】沖縄市宿泊施設支援補助金
〆切:2022年2月28日

北海道(札幌)

補助金名札幌市宿泊施設非常用自家発電設備整備補助事業
※申込みが予算額に到達した場合は受け付けを締め切り
概要「民間一時滞在施設」となる宿泊施設が非常用自家発電設備の整備をする経費の一部を補助
対象施設「民間一時滞在施設」となる宿泊施設
補助対象発電装置の設置・撤去に関係する工事
補助金額対象経費の1/2以内
上限額:1,000万(受入れ人数50~500人未満)~5,000万円(受入れ人数1,000人以上)

札幌市が提供する補助金です。「民間一時滞在施設」とは、停電など災害時に帰宅困難な旅行者を受入れる施設をいいます。申請前に着手した事業は補助対象外となるので注意して下さい。2024年3月15日までに事業を完了し、実績報告書を提出しなければなりません。

東京都

補助金名【終了】宿泊施設活用促進補助金
概要個人手配旅行やワーケーション、マイクロツーリズムなど新たな顧客ニーズへの対応など、経営環境の変化に対応する取り組みを支援
対象施設旅館業法の許可を受けた旅館・ホテル・簡易宿所営業
補助対象ワーケーションなど長期滞在型や個人手配型旅行の需要対応や、顧客を取り込むための事業など
補助金額対象経費の1/2以内 (中小事業者は2/3以内)
上限額:1施設につき500万円

東京観光財団が提供している補助金です。募集期間は2023年4月1日~2024年3月31日までですが、補助金申請額が予算額に達したら受付終了となります。上記の他、東京都では『宿泊施設バリアフリー化支援補助金』などもあります。

長野県(茅野市)

補助金名茅野市観光宿泊施設改装事業補助金
概要観光宿泊施設を改装して施設の美観を維持する経費に対し、予算の範囲内で支援
対象施設・中小企業者:資本金5千万円以下および従業員数100人以下のサービス業。
・観光宿泊施設:旅館業法による旅館業の許可を受け、10年以上市内において旅館業を営む者が設置する市内の宿泊施設。ただし、観光客の宿泊を主目的とする宿泊施設に限る。
補助対象宿泊施設改装事業
補助金額観光宿泊施設の改装に要する経費の100分の10以内の額
観光宿泊施設ごとの補助金累計額は50万円を限度
茅野市が提供している補助金です。市内の観光宿泊業の振興を図るため、観光宿泊施設を改装して施設の美観を維持する経費に対し、予算の範囲内で補助金を交付します。当初、令和4年度までの事業でしたが、期間を1年間延長し、令和6年度(令和7年3月31日)となりました。

愛知県

補助金名【終了】愛知県宿泊事業者高付加価値化促進事業費補助金
概要宿泊施設の生産性向上のための高付加価値化改修に関係する取り組みを支援
対象施設愛知県内の旅館・ホテル、簡易宿所、民泊施設
補助対象高付加価値化改修によって宿泊施設の生産性を向上させる改修事業
補助金額対象経費の1/2以内(中小企業者は2/3以内)
上限額:1施設につき1億円

愛知県が提供する補助金です。新築や増築については原則として対象になりません。ただし、改修にあたって高付加価値化の効果を最大化するために必要な増築の経費は、補助対象経費の1/4を上限として対象となります。2023年1月 27日で申請受付を終了しており、今後の再開については未定です。、

大阪府

補助金名【終了】大阪府宿泊施設等の感染症対策推進事業
概要新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の強化を支援
対象施設営業許可を受けた旅館・ホテル・簡易宿所・民泊
補助対象非接触対応・換気機能向上・その他府知事が感染症対策強化に必要と認める事業
補助金額対象経費の1/2以内
(災害時の旅行者受入れに関して府知事が認める協定を締結している場合は2/3以内)
上限額:1事業者につき200万円(特区、新法民泊施設については40万円)

大阪府が提供する補助金です。2022年2月28日で申請受付を終了しており、今後の再開については未定です。

京都府

補助金名【停止中】京都府宿泊施設立地等促進事業費補助金事業
概要地域経済の活性化を目的に市町村長の推薦を受けて、宿泊施設を整備する経費を補助
対象施設新築・増設・リノベーションを行う大規模・中規模・小規模宿泊施設
補助対象立地事業・雇用事業・伝産事業
補助金額立地事業:上限額は大規模宿泊施設2億円、中規模宿泊施設6,600万円、小規模宿泊施設2,000万円
雇用事業:上限額は大規模宿泊施設3,000万円、中規模宿泊施設1,000万円、小規模宿泊施設300 万円
伝産事業:上限額は大規模宿泊施設2,000万円、中規模宿泊施設660万円、小規模宿泊施設200万円(※補助率によって補助金100万円のケースもあり)

京都府が提供する補助金です。伝産事業とは、宿泊施設の整備にあたって伝統工芸品あるいは府内産の木材を活用する事業をいいます。

福岡県

補助金名【終了】福岡市宿泊事業者受入環境充実支援補助金
概要外国人観光客の受入環境強化・災害対応強化・デジタル化・バリアフリー化に必要な費用を支援
対象施設旅館業法且つ福岡市宿泊税条例で認められた旅館
補助条件外国人観光客の受入環境強化・災害対応強化・デジタル化・バリアフリー化に必要な費用であること
補助金額1事業者当たり対象経費の1/2以内上限額は30万円

福岡市が提供する補助金です。交付決定日以前に購入・実施されたものは対象外になるため、注意して下さい。この補助金の申請は2022年11月30日までとなっており、再開については未定です。

沖縄県

補助金名【終了】沖縄市宿泊施設支援補助金
概要新型コロナウイルス感染症拡大によって影響を受けた宿泊施設経営の事業継続を支援
対象施設旅館業法第3条第1項による営業許可を受けた沖縄市内の宿泊施設且つ2022年9月30日時点で営業中の宿泊施設
補助条件新型コロナウイルス感染症拡大によって宿泊施設経営に影響を受けたこと
補助金額客室数に応じた金額(10万円~)上限額300万円

沖縄市が提供する補助金です。下宿や民泊は対象外となっています。申請期間は2022年2月28日で終了しており、再開については未定です。

ホテル・旅館向けの補助金を申請する流れ

補助金申請手順の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 利用したい補助金制度を選択する
  2. 申請方法の確認
  3. 必要書類の準備
  4. 申請手続き
  5. 補助金を受け取る(審査あり)

ただし、『IT導入補助金』については、まずIT導入支援事業者を決定する必要があり、その支援のもとで申請手続きを行うことになるなど、流れが少し異なります。

ホテル・旅館向けの補助金を申請する際の注意点

ホテル・旅館向けの補助金を申請する際は、以下の3点に注意しましょう。

まず、スケジュールに余裕を持たせて申請する必要があります。gBizIDプライムアカウントの取得など、申請手続きや必要書類の準備に時間がかかる場合があるためです。

次に、補助金の申請要件は複雑なため、企業診断士やコンサルタントなどに相談するとスムーズに進められます。

また、補助金は原則として後払いのため、事業の実施に際して資金の確保が必要です。

ホテル・旅館のDX化向けの補助金を活用できるサービス

ここでは、『IT導入補助金』や『小規模事業者持続化補助金』を活用できるITシステムやサービスを2つ紹介します。

宿泊管理システム『every+1(エブリワン)』

宿泊管理システム『every+1(エブリワン)』を導入する際に『IT導入補助金』を活用できます。

『every+1(エブリワン)』は中小規模の宿泊施設向け業務支援システムアプリです。誰でも使いやすいデザインのため、従業員の業務負担を軽減できます。Webアプリなので、タブレットやスマートフォンさえあれば場所を問わずに利用が可能です。初期費用は無料、月額9,900円~と低価格で利用できます。

キャディッシュの予約番・Webサイト制作サービス

『小規模事業者持続化補助金』や『IT導入補助金』を活用してホームページ制作や予約システムを構築するなら、私たちキャディッシュが提供する『予約番』や『Webサイト制作サービス』がおすすめです。

宿泊予約システム『予約番』は、カスタマイズ性の高い予約画面や豊富なオンライン決済に対応しているのが強みです。また、キャディッシュのWebサイト制作サービスは、宿泊施設のサイト制作実績500件と豊富な実績に基づく提案力・デザイン力などが魅力です。

ホテル・旅館向けの補助金は上手に活用しよう!

宿泊施設が利用できる補助金にはさまざまな種類があるため、目的にあわせて選ぶ必要があります。申請には多くの日数を要するため、申請期間を確認した上で、スケジュールに余裕を持たせて手続きすることも大切です。また、補助金は原則として後払いとなるため、資金に余裕をみておきましょう。
ITシステムなどの導入を通じてDX化を図るなら、『IT導入補助金』や『小規模事業者持続化補助金