キャンプ場経営を始めるには?必要なものや初期費用・開設までの手順を紹介

公開日 (更新日 2024.02.29)

経営ノウハウを学びたい方

現在、キャンプの人気は高く、キャンプ場経営を始めることで収益が見込める可能性があります。とはいえ「どうやって始めたら良い?」「費用はどの程度掛かる?」など疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、キャンプ場経営を始めたい方向けに、キャンプ開設・運営に関するメリットやデメリット、開設までの手順や費用などについて解説します。

目次

キャンプ場を経営するメリット

キャンプ場を始めるメリットには、大きく2つが考えられます。開設を検討している方は、ぜひ参考にして下さい。

需要が高まっているため集客が見込める

近年のキャンプブームで、キャンプ場の需要は高まっています。総務省統計局が実施した「令和3年社会生活基本調査」によると、2021年時点でのキャンプ人口は約708万人でした。

近年はファミリーやグループで楽しむ人や、ソロキャンプをする人など、キャンプをする人のスタイルもさまざまになってきています。キャンプ場を開設・経営することにより、一定の集客が見込める可能性があります。

参考:総務省統計局『令和3年社会生活基本調査結果

土地活用の方法としても効果的

キャンプ場の経営は、土地活用の方法としても人気があります。未活用の土地を保有しているなら、あらためて土地を購入したり、借りたりする必要もありません。

キャンプ場経営者から事業継承で譲り受けられる機会がありそうな場合も、検討の価値はあるでしょう。事業継承の場合は、既に道具や設備がそろっているケースもあります。あらためて必要なものをそろえる手間がなく、より初期費用を抑えてキャンプ場経営ができる可能性があります。

キャンプ場を経営するデメリット

アウトドアブームが追い風とはなっているものの、キャンプ場経営にはデメリットもあります。課題も理解した上で、円滑な運営を行って下さい。

オフシーズンの集客が難しい

他の観光業と同様に、キャンプ場にもオンシーズンとオフシーズンがあります。地域差はありますが、日本キャンプ協会が発行している「キャンプ白書2021」によると、キャンプをする人が多いのは5月、8~10月となっています。一方で11~3月は利用者が減少します。

キャンプ場はオフシーズンでも維持をするためのランニングコストが掛かるため、いかにして集客するか考えなければなりません。キャンプ以外にも利用できる、通年使えるスポットにすると良いでしょう。

参考:日本キャンプ協会『キャンプ白書2021

さまざまな許可を取得しなければならない

キャンプ場の経営には、キャンプ場の広さや提供する内容に応じてさまざまな許可を取得する必要があります。例えば、以下の様な許可が考えられます。

取得すべき許可や資格許可の取得が必要なケース
旅館業の営業許可ロッジやコテージなどの宿泊施設を運営する場合
建築確認管理棟や宿泊施設などの建物を建てる場合
林地開発許可1ヘクタール以上の森林を伐採・開発する場合
酒類の販売業免許酒類を店頭または自動販売機で販売する場合
飲食店営業許可、
食品衛生責任者資格
料理やBBQ用の食材などを提供する場合

なかには、申請から取得までに数カ月掛かるものもあります。ある程度の時間が掛かることを見越し、早め早めの準備をしましょう。

キャンプ場の種類は大きく5種類

一言でキャンプ場と言っても、さまざまな種類があります。ここからは主なキャンプ場の形態を5つ紹介します。

オートキャンプサイト

車で乗り入れができるオートキャンプ場です。テントを張る場所の近くまで車で入れるため、利用者は荷物の移動の手間が掛かりにくくなります。

一般的にオートキャンプサイトは、以下のスペースから構成されます。

  • 自動車の駐車スペース
  • テントを張るスペース
  • テーブルや椅子を広げられるスペース

ただし、長時間のアイドリング禁止を始めとした騒音対策や、移動制限なども検討が必要でしょう。

フリーサイト

テントを張る位置や区画が決められておらず、利用者が好きな場所でテントを張れるタイプです。「フリーテントサイト」と呼ばれることもあります。

広々と利用できるため、利用人数が多い家族やグループに人気です。ただし、混雑する時期はスペースが確保できないこともあります。

区画サイト

割り当てられた区画にテントを張るタイプで、「固定テントサイト」とも呼ばれます。1組ごとにきちんと区画が決まっているため、利用者のプライバシーも守られやすいです。

キャンプ場によっては区画が狭いこともあり、少人数のキャンパーによく利用されています。区画ごとに水道やコンセントを整えているキャンプ場も多くあります。

コテージ・ロッジ・バンガロー

キャンプサイトとは別に、宿泊施設としてコテージやロッジ、バンガローを設置しているキャンプ場もあります。

施設の充実度合いはキャンプ場によって異なり、簡素なものからホテルに近い設備のものまで多様です。アウトドア慣れしていない初心者や、小さな子どもがいる家族連れに喜ばれることが多い様です。

グランピング施設やトレーラーハウス

アウトドアの雰囲気を味わいつつ、テント泊よりも快適に過ごせるグランピング施設やトレーラーハウスもあります。

グランピング施設ではテントを自分で設営する必要がなく、建物の形状やインテリアに凝ったおしゃれな空間で宿泊できる点が好評です。

トレーラーハウスはアウトドアの本場・アメリカでも人気がある、宿泊・滞在用の車のことです。自分で所有するには高価なものですが、手軽に宿泊できる様にキャンプ場に用意しているところもあります。

キャンプ場経営を始める際に必要なものは?

旅館やホテルの運営に比べると用意するものは多くありませんが、最低限、必要となるものがあります。キャンプ場を始めるために準備すべきものを紹介します。

キャンプ場を作る土地

土地の広さはキャンプ場のコンセプト次第で、決まりはありません。しかし、以下を始めとした自然が身近にある土地の方が、集客に有利となる傾向がある様です。

  • 山々を間近で眺められる
  • 有名な清流が近くを流れている
  • 敷地内に森や小川がある
  • 近くに人気のドライブコースや温泉がある

テントが張りやすい様に整地が必要になることもあります。尚、個人所有の土地を使う場合でも、1ヘクタール以上であれば上述の通り伐採や開発について自治体への届け出が必要です。

管理棟や共用設備などの建物

キャンプ場でも、ある程度の建物や設備が必要です。例えば管理者が常駐する管理棟は、あった方が良いでしょう。加えて、以下の様な共用設備も検討してみて下さい。

  • シャワールーム
  • 炊事場
  • 売店・レストラン

ロッジ形式やグランピングなどの場合は、建物の建設に加え、家具家電、備品類も用意しなくてはなりません。

キャンプグッズ

キャンプ初心者でまだキャンプ用具を十分に持っていないという人や、重い荷物を運ぶことなく手ぶらで気軽にキャンプをしたいという人もいます。そういった利用客がレンタルできるキャンプ用具を用意しておくと、喜ばれるでしょう。

中・上級者が多いキャンプ場でも同様です。利用客が忘れたり、持参したものが壊れてしまったりした時のための予備として、準備しておくのも良いでしょう。

キャンプ場のスタッフ

キャンプ場の規模や提供するサービスによっては、運営を手伝ってくれる人材が新たに必要になります。

キャンプ場の手入れや、売店・受け付け、安全管理などにはスタッフの確保をしなければなりません。ただし、必要なスタッフの人数はキャンプ場の規模によって変わります。オーナー1人もしくは家族だけで経営できる規模であれば、不要になるケースもあります。

キャンプ場の開設・経営に掛かる費用

キャンプ場を作るには、ある程度の資金が必要です。初期費用やランニングコストについて解説します。

初期費用はキャンプ場の規模や種類によって大きく変動する

用意すべき初期費用はかなり幅があり、1,000万円台でできる場合もあれば5,000万円程掛かる場合もあります。土地の広さや土地を取得するエリア、用意する設備などによって大きく変動するためです。また、整地の費用も忘れてはいけません。

設備をそろえるために必要な初期費用も、施設の種類によって変わります。例えば設備を充実させる必要があるコテージやグランピング施設は、フリーサイトに比べて多めの予算が必要かもしれません。

ただしどのタイプを選ぶにせよ、管理棟やトイレといった設備は必要です。また、BBQ用品やキャンプ用具を貸し出す場合は、備品を一通りそろえる必要があります。

ランニングコストも何項目かある

経営開始後に掛かるランニングコストとしては、以下の様なものが想定されます。

  • 水道光熱費
  • 人件費
  • 通信費
  • キャンプ場の維持費・修繕費
  • 広告宣伝費
  • 保険料
  • キャンプ場整備などの外注費

キャンプ場経営を軌道に乗せるには、収益性の確保が欠かせません。そのためにも、ランニングコストはできるだけ抑えた方が良いでしょう。

特に大きいのは人件費です。キャンプ場は繁閑が大きい施設でもあるため、シーズンに合わせてスタッフを配置するといった工夫をおすすめします。

キャンプ場を経営するまでの流れ

キャンプ場のコンセプトを固めて土地を探し、キャンプ場を始めるまでの流れを紹介します。幾つかの段取りがあるので、早めに準備を始めて下さい。

コンセプトを固めて作るキャンプ場の種類を決める

最初に、どういったキャンプ場にするか、コンセプトやターゲットを固めることが重要です。ソロキャンパー向けと、グループ向け・ファミリー向け、カップル向けでは必要な規模や設備、ロケーションが変わってきます。

集客のためには個性を打ち出す必要もあるでしょう。最近は愛犬と過ごせるドッグラン付きのキャンプ場や、サウナ・温泉付きのキャンプ場なども登場しています。知人にキャンプ場経営者がいれば、一度相談してみても良いかもしれません。

キャンプ場を作る土地を探す

コンセプトとターゲットが固まれば、キャンプ場を開設する土地を探す必要があります。グループやファミリー向けであれば都心から行きやすい場所、カップルなどをターゲットにするなら「夜景が見える」「星空が美しい」といったロマンチックな気分が味わえるロケーションにする、など、アイデアを出してみて下さい。

キャンプ場を開設する土地を探す方法としては、大きく以下の3つが考えられます。

  • 不動産屋で探す
  • インターネットで検索する
  • 土地所有者に相談する

ただし、農地を取得してキャンプ場にする場合は、農地転用の許可申請が必要です。農地は農業を行うための場所とされており、それ以外の用途で使うことを想定されていないためです。

設置する施設・設備を考えて建設計画を立てる

コンセプトと取得した土地を踏まえ、キャンプ場全体の計画を立てます。どういった施設や設備を置くのか、レイアウトはどうするかを決めていきましょう。

キャンプ場の工事をどの業者に依頼するかも、この段階で考え始めると良いでしょう。

必要な許可を取って経営を開始する

経営するキャンプ場の形態に合わせて、必要な許可も取得して下さい。提供するサービスに合わせて必要な許可を確認しておくことで、営業開始までスムーズに進められます。

あらかじめ提供するサービスを洗い出しておけば、もれなく対応できるでしょう。

キャンプ場経営に関するQ&A

キャンプ場経営にまつわるよくある疑問について回答します。キャンプ場を設営する場所やご自身のスキルによっても変わってきますが、参考にして下さい。

キャンプ場経営は儲かる?

キャンプ場の収益性にはさまざまな要素が絡むため、一概に儲かるとは言えません。

特に影響が大きいのが、季節ごとの繁閑です。キャンプ場は基本的には野外のため天候の影響も受けやすく、悪天候が続くと利用客が減りやすい傾向にあります。

閑散期や天候が崩れやすい季節は、ランニングコストを抑えたり、集客方法を工夫したりするといった対応ができれば、安定した収益を見込めるかもしれません。

キャンプ場の開設や経営に資格は必要?

キャンプ場の開設・経営に、特別な資格は必要ありません。

ただし前述の通り、提供するサービスに応じた許可の取得は必要となります。例えば食事や食材を提供する場合には、オーナーまたはスタッフのいずれかが食品衛生責任者の資格を持っている必要があります。

キャンプ場経営は副業でもできる?

ホテルや旅館の様にこまめにサービスを提供することもないため、副業としてキャンプ場の経営を行う人もいます。

ただし、大きなキャンプ場は敷地の管理に多くの時間を割かなければなりません。最初は、なるべく目が届きやすい小規模のキャンプ場から始めるのが良いでしょう。

キャンプ場を始める場合、準備にはある程度の時間と手間が掛かります。本業を行いながらの準備には苦労することもあるでしょう。無理をせず、ある程度の準備期間を見込んでおくのがポイントです。ゼロから準備する必要をなくすために、既存のキャンプ場を譲り受ける手もあります。

キャンプ場経営で失敗しないためには?

失敗しやすいキャンプ場の特徴には、以下を始めとした幾つかの傾向があります。

  • 初期投資を掛け過ぎる
  • ターゲットが広過ぎる
  • 手入れを怠る

初期投資を掛け過ぎると、利益を生める様になる前に経営が立ち行かなくなるリスクがあります。利用者のターゲットが広過ぎるとニーズが掴み切れず、必要な設備・サービスを提供できない可能性も考えられるでしょう。

また、最近はキャンプ場でもきれいな水洗トイレやシャワーがあるなど、施設を整えているところも多いものです。手入れを怠っていると、評判を落としかねません。ターゲット層を考えた上で的確な投資をし、キャンプ場内の手入れも抜かりなく行うことが、失敗しない秘訣だといえます。

まとめ キャンプ場の開設・経営を検討しよう

一口にキャンプ場といっても、オートキャンプやフリーサイトなど、種類はさまざまです。まずはどの様なキャンプ場を作りたいか、コンセプトをきちんと固めましょう。その上で、適切な規模・設備を整えて経営ができれば、収益も見込めるはずです。これを機に、キャンプ場経営について前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
宿力では、ホテルをはじめとした宿泊施設経営の方に向けてコンサルティングサービスを実施しています。キャンプ場経営だけではなく、ホームページやSNSに関することや、旅行サイトへの掲載に関することなども相談いただけます。キャンプ場経営を考えているホテル経営者の方は、ぜひ宿力をご利用下さい。

また、株式会社キャディッシュの『宿泊予約システム 予約番』は、多数のキャンプ場での宿泊予約システムの導入実績も豊富です。キャンプ場の予約システムの導入をご検討の方は、ぜひ予約番もご検討下さい。