ホテル・旅館(宿泊施設)の人手不足を解消するには?5つの施策を紹介!
公開日 (更新日 2024.01.17)

ホテル・旅館業界においては、慢性的な人手不足が問題となっています。実際に、自社ホテル・旅館でも人手不足の課題を感じている経営者は多いのではないでしょうか。
この記事では、人手不足の問題が発生する原因や、人手不足の課題解決に向けた具体的な対策について解説します。人手不足の課題解決に役立つおすすめのサービスも紹介するので、ぜひ参考にして下さい。
目次
ホテル・旅館業界における人手不足や離職率の現状
まずは、ホテル業界の人手不足や離職率・有効求人倍率などの現状について解説します。
人手不足の割合
帝国データバンクが2023年1月に発表した調査結果によると、ホテル・旅館業を営む企業の「77.8%」は正社員の人手が不足していると回答しており、業種別では最も多い数値となっています。
また、非正社員の人手不足の割合も81.1%と高く、他業種と比較して最多であり、ホテル・旅館業における人手不足の深刻さが分かる結果となりました。
参考:帝国データバンク『人手不足に対する企業の動向調査(2023 年 1 月)』
離職率・有効求人倍率
厚生労働省の雇用動向調査によると、宿泊業・飲食サービス業における2021年の離職者数は 1,270万9,000 人と業種別の中で最多数を占めています。
また、離職率も25.6%と他業種を大きく上回り最大です。加えて、厚生労働省が公表している有効求人倍率をみてみると、「接客・給仕の職業」の2021年7月の有効求人倍率は1.78倍であり、前年の1.64倍からさらに増えています。
参考:厚生労働省『令和3年(7月分) 一般職業紹介状況』
参考:厚生労働省『令和2年(7月分) 一般職業紹介状況』
参考:厚生労働省『令和3年雇用動向調査 産業別の入職と離職』
ホテル・旅館での人手不足が引き起こす影響

ここでは、ホテル・旅館業において人手不足が引き起こす主な悪影響3つについて解説します。
既存従業員の業務負担が増加する
ホテルや旅館で人手が不足すると、既存従業員が担当しなければならない業務が増えることによって、負担が増加してしまいます。オーバーワークによって従業員の心身が疲弊すれば、モチベーションが低下したりストレスを感じたりすることになり、離職に繋がりかねません。
つまり、人手不足が原因で離職者がさらに増えてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
サービスの質が低下する
人手不足によって既存従業員の業務負担が増えることによって、1つ1つの業務をスピーディーにこなさなければ、限られた作業時間内に業務を完了できなくなります。
従業員が丁寧に作業する余裕を持てない状態で作業すれば、結果的にミスや見落としなども増えることに繋がり、サービスの質を保てなくなってしまうのです。サービスの質が低下すれば、それに伴って顧客満足度も低下することになるでしょう。
事業継続が困難になる可能性がある
最悪の場合、人手不足が原因となって事業の継続が困難になり、倒産に繋がる可能性も出てきます。
帝国データバンクが2023年1月に発表した調査結果によると、2022年に人手不足を理由に倒産した企業は全業種の合計で140件です。この様に、人手不足は経営に悪影響を与える要素となることが分かります。
参考:帝国テータバンク『人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)』
ホテル・旅館で人手不足の課題が発生する主な要因・背景
ここでは、ホテル・旅館で人手不足の課題が発生する主な要因・背景2つについて解説します。
不満が溜まりやすい労働環境・待遇になっている
厚生労働省の賃金構造基本統計調査の結果を基に、2022年における宿泊業・飲食サービス業の平均年収を算出すると約346万円(※1)です。
ちなみに、2021年の日本の平均給与は443万円となっており、宿泊業は給与が安い傾向にあることが分かります。
参考:e-Stat『賃金構造基本統計調査』
(※1) 「企業規模計(10人以上)」における、「きまって支給する現金給与額 × 12 + 年間賞与その他特別給与額」の計算式で算出
参考:国税庁『民間給与実態統計調査』
また、厚生労働省の「働き方・改善ハンドブック 宿泊業(旅館・ホテル業)」によると、業界特有の営業時間の長さに課題を感じている企業が多数です。
この様な低賃金・長時間労働の慢性化によって人材が集まりにくくなっており、求人してもすぐに離職してしまうという事態に陥ってしまっています。
長時間働かなければならない上に低賃金では従業員のモチベーションも上がらず、従業員満足度(ES)が低下して離職に繋がるため、さらに人手不足が深刻化します。
参考:厚生労働省『働き方・休み方改善ハンドブック 宿泊業(旅館・ホテル業編)』
インバウンド需要に対応できる人員が必要になっている
インバウンド需要の増加に対応できる人員を新たに雇用する必要性に伴い、人材不足における新たな課題が生じています。国内の新型コロナウイルス感染症に対する水際対策の終了を受けて、インバウンド需要が回復してきているのです。
インバウンドの受け入れ態勢を構築するためには人員の増加、特に外国語対応ができる人員の強化が必要ですが、人材獲得の競争も激化しているため、必要な人材の確保は困難になっています。
ホテル・旅館における人手不足の具体的な対策

ここでは、ホテル・旅館における人手不足の主な対策について具体的に解説します。
1.生産性向上のためのITシステムを導入する
ITシステムを導入して生産性向上を図ることにより、人手不足の課題解決につながります。
例えば、ホテル・旅館のホームページに予約システムを導入し利用者が自分でインターネットを通じて予約できるようにすれば、フロントやオペレーターの電話対応業務の削減が可能です。
また、ホテル管理システム(PMS)で予約状況や客室管理などの情報共有を円滑化することも業務効率化や生産性向上に繋がります。加えて、IoTで設備・在庫管理を効率化したり清掃ロボットなどを導入したりするなどの方法も有効です。
2.業務をアウトソーシングする
Webマーケティングやデータ入力業務など、業務の一部を外部の業者に任せるという方法もあります。例えば、自社内にWebマーケティングのスキルが高い担当者がいない場合は、プロのコンサルタントに依頼することで、業務を効率化しながらより大きな効果を期待できます。
Webマーケティングをアウトソーシングするなら「株式会社宿力」のコンサルティングサービスがおすすめです。業界のトッププランナーである百楽荘が提供しているサービスであり、Web集客を得意としています。
3.外国人採用を強化する
インバウンド需要への対応として外国人従業員の採用を強化することも、人手不足解消に有効な方法です。利用者の母国語や文化に長けた外国人従業員を雇用すれば、よりスムーズなインバウンド対応が可能です。
ただし、外国人にはさまざまな在留資格があり、就労内容などが制限されている場合がある点に注意が必要です。
例えば、サービススタッフなら「技術・人文知識・国際業務」、飲食部門スタッフなら「特定技能:外食」、幅広い業務に対応させるなら「特定技能:宿泊」の様な在留資格が必要になります。不法就労させることがないように気を付けて下さい。
4.既存従業員のマルチタスク化を図る
マルチタスクとは、1人の従業員が複数の業務を担当し、並行して行うことを言います。コストの問題により新たな人員の雇用が難しい場合は、既存従業員のスキルアップを図り、複数業務をこなせるようにする方法を検討しましょう。
例えば、これまでフロント業務のみを担当していた従業員に清掃業務やレストラン業務なども覚えてもらい、フロント業務が忙しくない時間帯に別部門の業務に回ってもらうことによって、人手不足を補うことができます。
従業員のマルチタスク化を図る際は、業務マニュアルを作成しておけば教育に掛かる時間・人材ソースのコスト削減が可能です。
5.従業員の働き方や待遇を見直す
従業員の働き方や待遇を見直して改善することによって、離職率を下げ、人材不足解決につなげることができます。
労働時間を見直したり、休日を適切に取れるように設定したりすると良いでしょう。また、有給休暇の取得や定休日の設定を徹底することも、働きやすい環境づくりに繋がります。
労働環境などの見直しを行う際は、従業員の声を積極的に拾い上げるようにしましょう。企業が従業員を尊重しているというメッセージを伝えることで、企業へのロイヤリティを高めることができます。
6.外部から人材を調達する
人材派遣を積極的に活用するなど、外部から人材を調達する方法もあります。最近では『タイミー』の様に、短時間のスポット的なアルバイトを募集できる求人サイトもあるため、人手不足が顕著な時間帯・部門への人材強化に活用できます。
例えば、ヒルトン東京ベイでは、レストランでのサービスや食器洗い、調理補助などの臨時スタッフをタイミーで募集しています。
参考:タイミーラボ『憧れのホテルでスキマバイト!? 「ヒルトン東京ベイ」でお仕事体験』
人材派遣の活用は、繁忙期など一時的に人材を確保したい場合には有効な方法です。ただし、人材不足の根本的な解決にはならないため、上記で挙げた施策と並行しながら行うようにしましょう。
ホテル・旅館で人手不足の課題解決に成功した事例

ここでは次の3つの事例を紹介します。
- 下部温泉郷 下部ホテル様
- 鹿教湯温泉 みやこ旅館様
- 熱海温泉 温泉宿 古屋旅館様
下部温泉郷 下部ホテル様
山梨県下部温泉郷の「下部ホテル」様では、人材が定着しないといった課題を抱えている中、新たな雇用や人材派遣会社の活用も難しい状況でした。特に、中抜けシフトでの勤務が多いことが従業員の不満に繋がっていました。
そこで、中抜けシフトの削減策として接客・フロント・内務の3部門を統合し、従業員のマルチタスク化を積極的に進めました。
マルチタスク化により柔軟なシフトを組んだことで、繁忙期でも増員することなく業務に対応できるようになりました。加えて、人件費を上げることなく、中抜けシフト勤務の削減や年間休日の増加も実現しています。また、中抜けシフトがないことが新規スタッフの採用活動においても良い効果を上げているそうです。
参考:観光庁『マルチタスクによる中抜け勤務の解消』
鹿教湯温泉 みやこ旅館様
長野県鹿教湯温泉「みやこ旅館」様では、少人数運営の旅館のため、従業員が互いに協力しあいながら業務を進める必要があるにもかかわらず、それができていないという課題がありました。そこで、ミーティングを実施して作業内容を見直し、無駄を省いて時間管理を徹底する施策を行いました。
業務の見直しを行ったことにより、若女将がそれまで担っていた作業が削減されたため、若女将は業務管理に目を向けられるようになっています。また、時間管理を徹底するようになったことで、全体的に時間の無駄がなくなりました。
参考:観光庁『少人数運営の管理体制の強化』
熱海温泉 温泉宿 古屋旅館様
老舗である「温泉宿 古屋旅館」様でも、慢性的な人材不足について課題を感じていました。そこで既存従業員の業務負担を減らすため、旅館の管理システムを遠隔操作できるシステムを構築し、予約時の詳細な顧客情報の入力作業をアウトソーシングしました。
信頼性の高いアウトソーシング請負会社に任せた結果として、顧客情報保護の上でも安心・安全なオンラインアウトソーシング化が実現できています。既存従業員がデータ入力に費やしていた作業時間も削減できました。
ホテル・旅館の人手不足の解決に役立つサービス
ここでは、ホテル・旅館の人手不足解決に役立つ宿泊予約システム・ホテル管理システムを2つ紹介します。
ホテル宿泊予約システム「予約番」
私たち株式会社キャディッシュが提供する『予約番』は、ローコストハイリターンの宿泊予約システムです。予約システムを予約番に切り替えることでエージェント手数料を抑え、自社の収益を増やすことができます。
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PMS「every+1(エブリワン)」
GRIT株式会社が提供する『every+1』は宿泊施設に特化した業務支援アプリです。スタンダードプランでは予約管理・客室管理・商品管理・売上管理・入金管理・清掃管理・忘れ物管理といった機能が利用できる他、チャット機能で従業員間の情報共有もできます。加えて、初期導入設定サポートもオプションで利用可能です。また、低価格で導入・運用が可能なこともevery+1のメリットです。さらに、タブレット・スマートフォン単体で利用でき、誰もが使いやすいシンプルな操作性もevery+1の特徴となっています。
まとめ 適切な施策でホテル・旅館における人手不足の課題を解消しよう!

今回の記事で説明した通り、ホテル・旅館業界では人手不足の課題が慢性化しています。人手不足の課題を解決する対策としてはさまざまな手段がありますが、中でも業務のIT化がおすすめです。
株式会社キャディッシュでは、宿泊予約システム『予約番』や、パートナー企業様の業務支援アプリ『every+1』などの提供を通して貴社の人手不足の課題解決をサポートします。ぜひご活用下さい。