ホテルでVODを導入するには?具体的な方法やシステム提供事業者を紹介
公開日 (更新日 2024.01.25)

さまざまな動画コンテンツを楽しめるVOD(video on demand)を自社ホテルでも導入したいと考えている経営層の方もいるでしょう。この記事では、ホテルにVODを導入するメリットや提供方法、おすすめのVODシステム提供事業者などを紹介します。VODを導入する際は、ぜひ参考にして下さい。
目次
VODとは?
VODとは、「video on demand」の略語です。映画やドラマ、アニメといったさまざまな動画コンテンツから好きなものを選んで、好きな時に視聴できる動画配信サービスを指します。代表的なVODサービスとしてはNetflixやHulu、Amazonプライムビデオなどがあります。
GEM Partners株式会社が2023年に実施した調査「動画配信(VOD)市場5年間予測(2023-2027年)レポート」によると、VOD市場は年々拡大傾向にあり、需要の高さが伺えます。
参考:GEM Partners株式会社『動画配信(VOD)市場5年間予測(2023-2027年)レポート」2月17日(金)発行』
ホテルにおけるVOD事情
ホテルにおけるVODは、客室に備え付けのテレビを利用して提供します。従来は、各ホテルに設置された券売機で利用者に視聴券を購入してもらう方法が主流でした。
現在はサービスの1つとして「客室VOD見放題」プランや「VODカード付き」プランを提供するシティホテルやビジネスホテルが多くなっています。また、コテージやグランピングなど自然とのふれあいを目的として滞在する宿泊施設でも、ルームシアターを設けてVODを導入する流れが出てきています。
ホテルでVODを導入するメリット

ホテルでVODを導入するメリットは次の3つです。
- 顧客満足度向上に繋がる
- 競合との差別化が可能になる
- さまざまな機能・サービスと連携も可能
それぞれについて以下で解説します。
顧客満足度向上に繋がる
記事の冒頭で触れた様に、VOD市場は拡大傾向にあり、多くの人にニーズがあることが分かります。外出先でも自分のスマートフォンでVODを視聴する人も増えており、ワーケーションなどでホテルに長期滞在する際には、VODを視聴するためにタブレットやパソコンを持参する人もいます。
ホテルでも積極的にVODを導入すれば、日頃からVODを楽しんでいる人は手荷物を減らすことができますし、VODに登録していない人もホテルで体験することが可能です。VOD導入によって顧客の滞在をより質の高いものにできれば、顧客満足度の向上に繋がります。
競合との差別化が可能になる
VODを提供することはホテルとしての付加価値となります。さらに、豊富なコンテンツを自由に選んで視聴できる環境を用意することによって、競合ホテルとの差別化も可能です。
ただし、VODを導入するホテルも増えているため、それだけで競合ホテルに勝てるとは限りません。これからは、「VODサービスを含む魅力的なプランを提供する」という意識を持つことが大切です。
さまざまな機能・サービスとの連携も可能
後から詳しく解説しますが、ホテルでVODを提供するためには、VODシステムを導入する必要があります。
VODシステムのなかには、PMSや清掃システムなどと連携できるものもあるため、導入すれば業務効率化などにも繋がります。また、館内情報やW-Fi情報などを利用者の言語で客室のテレビ画面に掲載することで、インバウンド対応のレベルアップやペーパーレスも実現可能です。加えて、災害時などにテレビを強制起動し、多言語で緊急案内メッセージを掲載する機能もあります。
ホテルでVODを提供する方法
ホテルでVODを提供する主な方法は次の2つです。
- ホテル向けのVODシステムを導入する
- スマートテレビの設置でサブスク型のVODに対応する
それぞれについて以下で解説します。
ホテル向けのVODシステムを導入する
VOD事業者が提供しているホテル向けのVODシステムを導入する方法があります。ホテル向けVODシステムと一口に言っても、「STBレスVODシステム」や「STB設置型VODシステム」、「次世代型VODシステム」、「クラウドVODシステム」など、種類はさまざまです。
各種類のシステムそれぞれが異なる特徴を持つため、種類の詳しい内容については、後から解説します。
スマートテレビの設置でサブスク型のVODに対応する
客室に新しいテレビを設置し、サブスクリプション型のVODに対応するという方法もあります。つまり、インターネット回線が繋がるAndroid搭載型スマートテレビを設置し、動画配信サービスのアカウントを持っている人がホテルのテレビでログインして、いつも通りにVODを楽しめる仕組みを構築する方法です。
この方法では顧客が自分のアカウントを利用できるため、途中まで視聴した映画やドラマなどの続きをホテルで観られるといった利便性を提供できます。
ホテル向けVODシステムの主な種類

ホテル向けVODシステムの主な種類は次の4つです。
- STBレスVODシステム
- STB設置型VODシステム
- 次世代型VODシステム
- クラウドVODシステム
それぞれの特徴について以下で解説します。
STBレスVODシステム
STBとは「Set Top Box(セットトップボックス)」の略称で、画面に動画や画像、テキストなどを表示させる機材です。デジタルサイネージなどにもよく利用されています。ボックスと名が付いていますが、現在はUSBメモリ程度に小型化しています。
STBレスVODシステムとは、STBは不要であり、LANケーブルで客室内インターネットに接続するだけでVODを導入できるシステムです。STBが不要な分、導入コストを削減できるといったメリットがあります。
STB設置型VODシステム
STB設置型VODシステムは、専用端末(STB)を接続することによって、STBレス非対応のテレビでもVODを導入できる方法です。客室のテレビを新しく買い換える必要がないためコストを抑えることができる他、VOD用リモコンと客室のテレビリモコンを統一できるというメリットがあります。
次世代型VODシステム
次世代型VODシステムとは、Webサイトでも使用されている世界標準規格であるHTML5を使用したVODシステムです。4K画質にも対応するなどハイクオリティの表現を楽しめる他、YouTubeやNetflixなどのアプリと連携させることもできます。また、多機能であり、他システムよりもクオリティの高い情報の発信も可能です。
クラウドVODシステム
クラウドVODシステムは、ホテル向けVODシステム提供会社のデータセンターから客室テレビへ直接動画コンテンツを配信するシステムです。ホテル内にサーバーを設置する必要もなく、客室内でも配線・リモコンが不要なため、低コスト且つシンプルな構造でVODを提供できます。ただし、配信できる客室数は150室程度と制限があります。
ホテル向けおすすめのVODシステム提供事業者
ここでは、ホテル向けおすすめのVODシステム提供事業者4社を紹介します。
- クロスバリュー株式会社
- 株式会社ネットフォレスト
- 株式会社ネットシスジャパン
- 株式会社パレット
クロスバリュー株式会社
引用元:クロスバリュー株式会社
2008年設立で東京都に本社を置くクロスバリュー株式会社は、デジタルサイネージやネットワーク・インフラ構築など、ITを活用したサービスを提供しています。クロスバリュー株式会社は、次世代型VODシステムやSTBレスVODシステム・STB設置型VODシステム・次世代型VODシステム・クラウドVODシステムの提供の他、VODとPMSとの連動や混雑状況表示システムなども提供しています。
株式会社ネットフォレスト
引用元:株式会社ネットフォレスト
2000年創業で横浜本社・福岡支社・旭川事業所を展開する株式会社ネットフォレストは、国内で初めてSTBレスVODシステムの提供を開始した会社です。また、全国90,000客室に上る豊富な実績を持ちます。STBレスVODシステムや業界唯一のIPv6を利用したクラウドVODシステムの提供に加えて、要望に合わせて柔軟に機能設計・構築ができる点も強みです。
株式会社ネットシスジャパン
引用元:株式会社ネットシスジャパン
2004年創業で新潟本店・東京本社・韓国支社を展開する株式会社ネットシスジャパンは、VODシステムの他にリネンシステム(清掃管理)なども提供しています。独自開発したVODシステムを提供しており、動画提供の他、PMS連携や清掃管理、館内施設の混雑状況など、多彩な情報を客室テレビ画面に配信することが可能です。多言語対応や要望・設備状況に合わせたカスタマイズなどもできます。
株式会社パレット
引用元:株式会社パレット
2013年創業で東京に本社を置く株式会社パレットは、ホテル向けVODシステムの開発・保守やネットワーク、サーバー環境の設計・構築などを行う会社です。株式会社パレットが提供するVODシステム『Pallet PLUS』は、多彩なジャンルを取り揃えた豊富なコンテンツとYouTubeを視聴できる他、ネットサーフィンやカラオケ、ルームサービス、客室チェックアウトなど、多彩な機能を搭載しています。画面デザインもホテルの雰囲気に合わせて制作可能です。
ホテル向けおすすめのスマートテレビ
ここでは、スマートテレビの導入を検討している方に向けて、おすすめの3製品を紹介します。
- crottaTV
- BRAVIA
- REGZA
crottaTV
引用元:crotta
4K Android スマートテレビ「crotta TV(クロッタ・ティービー)」は、テレビからインフォメーション、コンシェルジュ、エンターテイメント機能まで備えたオールインワンスタイルのスマートテレビです。ホテル客室向けの「ホテルモード」機能を搭載しており、遠隔操作や機能制限、多言語対応など、ホテルに必要な機能を標準搭載しています。YouTubeなど動画配信アプリを無料で利用できる他、VODもオプション機能として利用可能です。
BRAVIA
引用元:SONY
法人向けブラビアは、上で紹介したクロスバリュー株式会社とSONYが共同開発したホテル向けシステムが売りです。Googleのメディアストリーミング用デバイス「Chromecast(クロームキャスト)」を搭載している他、4K高画質プロセッサーや家庭用テレビとは比べ物にならない大画面によって、VODコンテンツをハイクオリティな映像と音質で楽しめます。
REGZA
引用元:REGZA
法人向けREGZAは4K・2Kの全機種にネットワーク接続機能が装備されているため、LAN配線のみ・STB不要でVODに対応できます。HTML5対応ブラウザなら、さらにハイクオリティな映像を実現可能です。また、顧客の視聴履歴やログイン情報が完全に消去されるため、セキュリティにも優れています。初期設定はVOD会社やホテルの要望に応じてカスタマイズでき、設定内容はUSBメモリにコピーできるので、数百室規模のホテルでも設定がスムーズです。
まとめ ホテルでも積極的にVODを導入しよう!

VODのニーズは高く、ホテルでも積極的に導入することで顧客満足度の向上を図れるメリットがあります。VODの導入方法にはVODシステムの導入やスマートテレビの設置といった選択肢があるため、自社の設備状況に合わせて導入方法を検討することが重要です。
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